判旨
上告審において、被告人が提出した書面が法定の上告趣意書提出期間経過後に差し出されたものである場合、裁判所はこれに対して判断を要しない。
問題の所在(論点)
法定の上告趣意書提出期間を経過した後に提出された被告人作成の書面(歎願書上申書)について、上告裁判所は判断を示す義務を負うか。
規範
刑事訴訟法及び刑事訴訟規則に定められた上告趣意書の提出期間は、訴訟手続の迅速かつ確実な進行を期するための法的期間である。したがって、当該期間を経過した後に提出された書面については、裁判所は実体的な判断を行う義務を負わない。
重要事実
被告人が上告を提起したが、弁護人による上告趣意書のほかに、被告人自身も「歎願書上申書」と題する書面を提出した。しかし、当該書面が裁判所に提出されたのは、刑事訴訟法等で定められた法定の上告趣意書の提出期間が経過した後であった。
あてはめ
本件において被告人が提出した「歎願書上申書」は、記録によれば法定の上告趣意書提出期間経過後に差し出されたことが明らかである。期間徒過後の書面提出は適法な上告趣意の追加とは認められず、裁判所がこれに対して個別に判断を下すべき法的根拠はない。したがって、弁護人の上告趣意について判断を行う一方で、当該書面については特段の審理対象とする必要はないと解される。
結論
被告人の提出した書面は期間経過後のものであるため、これに対して判断をしないことは適法である。上告を棄却する。
実務上の射程
本判決は、刑事訴訟における期間制限の厳格性を認めたものである。答案作成上は、被告人本人や弁護人が提出期限に遅れた主張を行った場合、特段の事情(責めに帰すべきでない事由等)がない限り、裁判所に判断義務が生じない根拠として引用できる。
事件番号: 昭和26(あ)38 / 裁判年月日: 昭和27年2月14日 / 結論: 棄却
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事件番号: 昭和47(あ)2127 / 裁判年月日: 昭和49年3月1日 / 結論: 棄却
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事件番号: 平成4(あ)2 / 裁判年月日: 平成4年3月27日 / 結論: 棄却
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