判旨
公訴事実の一部について大赦があった場合には、その部分について免訴の言渡しをすべきであり、併合罪の関係にある他の罪については別途刑を量定して言い渡すべきである。
問題の所在(論点)
公訴事実の一部に大赦があった場合、裁判所はどのような裁判をすべきか。また、大赦の対象とならない他の併合罪との関係をいかに処理すべきかが問題となる。
規範
被告事件について大赦があったときは、判決で免訴の言渡しをしなければならない(刑事訴訟法337条3号)。複数の犯罪事実が併合罪(刑法45条)の関係にある場合、大赦の対象となった罪については免訴とし、大赦の対象外である他の罪については、その罪の法定刑に基づき改めて量刑を決定する。
重要事実
被告人は臨時物資需給調整法違反、虚偽公文書作成教唆(刑法156条、155条1項、61条1項)、及び贈賄(刑法198条)の罪に問われ、第一審および原審で有罪判決を受けていた。しかし、上告審の継続中に、昭和27年政令第117号大赦令が公布・施行され、臨時物資需給調整法違反の罪がその対象に含まれた。
あてはめ
臨時物資需給調整法違反の点については、大赦令により免訴事由が生じているため、刑事訴訟法411条5号に基づき原判決を破棄した上で、同法337条3号を適用して免訴を言い渡すべきである。一方で、虚偽公文書作成教唆および贈賄の事実は大赦の対象に含まれない。したがって、これら大赦にかからない犯罪事実については、刑法45条、47条に基づき併合罪として加重した刑期範囲内で、改めて被告人を懲役1年に処し、3年間の執行猶予を付すのが相当である。
結論
臨時物資需給調整法違反については免訴。大赦の対象外である他の罪(虚偽公文書作成教唆、贈賄)については、併合罪として懲役1年、執行猶予3年に処する。
事件番号: 昭和27(あ)3423 / 裁判年月日: 昭和28年3月20日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】臨時物資需給調整法違反の事実が大赦令の対象となった場合、刑訴法411条5号に基づき原判決を破棄し、337条3号により免訴を言い渡すべきである。また、贈賄の事実については刑法198条を適用し、刑の執行猶予を付すことができる。 第1 事案の概要:被告人は臨時物資需給調整法違反および贈賄の事実で公訴を提…
実務上の射程
併合罪のうち一部に免訴事由(大赦、時効完成等)が生じた際の判決主文の書き方を示す実務上の先例である。答案上は、数罪が観念的競合(刑法54条1項前段)の関係にある場合には、一罪として最も重い刑で処断されるため、軽い方の罪に免訴事由があっても判決理由中で示すに留まるが、本件のような併合罪では主文で個別に免訴を言及する必要がある点に注意が必要である。
事件番号: 昭和27(あ)606 / 裁判年月日: 昭和27年12月12日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】大赦令の施行により公訴事実の一部に大赦があった場合、裁判所は当該事実について免訴の言渡しをしなければならない。また、残余の事実については法律を適用して処罰し、併合罪として刑を量定すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、臨時物資需給調整法及び石油製品配給規則等に違反し、機械油や揮発油、軽油等の石…
事件番号: 昭和26(あ)3828 / 裁判年月日: 昭和27年11月7日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】大赦令の施行により公訴事実の一部について大赦があった場合、当該事実については免訴の言渡しをすべきであり、その余の犯罪事実については原判決を破棄した上で改めて刑を量定すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、法定の除外事由がないにもかかわらず、配給割当公文書と引き換えずにマシン油及びシリンダー油等…
事件番号: 昭和26(あ)1336 / 裁判年月日: 昭和28年3月26日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】公訴事実の一部に大赦があった場合、当該部分については免訴の言渡しをすべきであり、大赦の影響を受けない他の犯罪事実については、別途法令を適用して有罪判決を下すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、物価統制令違反、臨時物資需給調整法違反、および公文書偽造・同行使の罪に問われていた。第一審判決後、控…
事件番号: 昭和27(れ)118 / 裁判年月日: 昭和27年11月4日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】大赦令が公布・施行された場合、大赦の対象となった公訴事実については刑事訴訟法に基づき免訴の言渡しをすべきである。一方、大赦の対象外である他の罪数については、確定した事実に基づき刑を科すのが相当である。 第1 事案の概要:被告人は臨時物資需給調整法違反および刑法246条1項(詐欺罪)の罪に問われ、原…