判旨
石油製品配給規則の適用に関し、軽油に該当するものであれば、その品質のいかんを問わず、すべて同規則の適用対象となる。
問題の所在(論点)
行政上の統制・配給規則の対象となる「軽油」の範囲について、品質の優劣や具体的な成分等の違いによって規則の適用が左右されるか。すなわち、目的物の性質認定と法規適用の関係が問題となった。
規範
特定の行政規制(石油製品配給規則等)の対象となる物品の意義について、法令がその物品名(軽油等)を掲げている以上、当該物品としての実質を備えているのであれば、その品質の良し悪しや具体的な性状の如何にかかわらず、一律に当該規制の適用を受けるものと解すべきである。
重要事実
被告人が行った石油製品の取引について、当該物件が「軽油」に該当するかが争点となった。第一審では、証拠に基づき当該物件が軽油であると認定されたが、被告人側はこれが統制外の物品であると信じていたことや、品質等の観点から規則の適用を争った。原審(控訴審)は、軽油である以上品質を問わず規則が適用されると判断し、最高裁もこれを是認した。
あてはめ
本件における物件が「軽油」であることは、被告人自身の自認および証人の供述、第一審での証拠調べにより明瞭に認められる。法令の解釈として、規則が「軽油」を対象としている以上、その品質がどうあれ軽油としての実体を備えている限り、当該規制の網から外れる理由はない。したがって、被告人が行った取引は同規則違反を構成すると評価される。
結論
軽油である以上、その品質の如何にかかわらず全て石油製品配給規則の適用がある。したがって、原判決に法令違反や事実誤認はなく、被告人の上告は棄却される。
実務上の射程
事件番号: 昭和26(れ)1742 / 裁判年月日: 昭和27年12月18日 / 結論: 棄却
いわゆる進駐軍用物資の揮発油であつても、石油製品配給規則による統制の対象となるものと解すべきである。
行政法規や経済統制法における「目的物の定義」に関する解釈指針を示す。法令が定める類型に該当する事実が認められる以上、その細かな属性や品質の差異を理由に適用を排除することはできないという、文言解釈を重視する実務上の基本姿勢を確認したものである。答案上は、構成要件に該当する対象物の認定において、実質的な品質論による限定解釈を否定する文脈で活用し得る。
事件番号: 昭和26(あ)2997 / 裁判年月日: 昭和28年8月7日 / 結論: 破棄差戻
いわゆる進駐軍用物資のガソリンであつても、石油製品配給規則による統制の対象となる。
事件番号: 昭和27(あ)1120 / 裁判年月日: 昭和28年7月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】自動車揮発油の譲渡先および譲渡場所の変更を伴う訴因変更について、公訴事実の同一性の範囲内にあるとして、その適法性を認めた。 第1 事案の概要:被告人が自動車揮発油を譲渡した事案において、第一審において、当該揮発油の「譲渡先」および「譲渡場所」をそれぞれ変更する訴因変更の手続きが行われた。原判決はこ…
事件番号: 昭和26(あ)4443 / 裁判年月日: 昭和28年5月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政庁の許可を得た適法な行為であると誤信して油類を譲渡した場合であっても、証拠上その誤信に相当な理由が認められない限り、故意が阻却されることはなく犯罪が成立する。 第1 事案の概要:被告人は油類を譲渡したが、これが当局から「前渡」またはそれに類するものとして許可された適法な譲渡であると信じていたと…
事件番号: 昭和27(あ)4685 / 裁判年月日: 昭和28年7月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】貸金債権の担保として前後二回にわたり個別に代物弁済予約を締結し、それぞれの履行として石油製品を譲り受けた行為は、実質的に二個の譲受行為として評価され、行政規則違反の罪数は併合罪となる。 第1 事案の概要:被告人は、Aに対し前後二回にわたって金銭を貸し付けた。それぞれの貸金債務を担保するため、各別に…