いわゆる進駐軍用物資のガソリンであつても、石油製品配給規則による統制の対象となる。
いわゆる進駐軍用物資のガソリンと石油製品配給規則
臨時物資需給調整法1条,臨時物資需給調整法4条,石油製品配給規則(昭和22・10・31総理庁外10省令1号)4条
判旨
進駐軍用物資であるガソリンであっても、石油製品配給規則による統制の対象に含まれると解するのが相当である。
問題の所在(論点)
進駐軍用物資としての性質を有するガソリンが、石油製品配給規則による経済統制の対象に含まれるか(同規則の適用範囲が問題となる)。
規範
特定の行政上の規制(本件では石油製品配給規則)の対象となる物資については、その物資の由来や性質(進駐軍用物資であること等)にかかわらず、当該規則の文言および目的に照らし、統制の必要性が認められる限り、一律にその適用を受けるものと解する。
重要事実
被告人A、B、C、Dの4名は、いわゆる進駐軍用物資であるガソリンを取り扱ったが、これが石油製品配給規則に基づく統制の対象外であるとして、第一審および控訴審において無罪の言い渡しを受けた。これに対し検察側が、当該ガソリンも統制の対象に含まれるべきであるとして上告した事案である。
事件番号: 昭和26(れ)1742 / 裁判年月日: 昭和27年12月18日 / 結論: 棄却
いわゆる進駐軍用物資の揮発油であつても、石油製品配給規則による統制の対象となるものと解すべきである。
あてはめ
最高裁判所は、既に出されている判例(昭和26年(あ)第1721号等)を引用し、進駐軍用物資のガソリンであっても石油製品配給規則による統制の対象となることを明示した。本件ガソリンが同規則の適用を受けないとした原判決および第一審判決は、法令の解釈を誤った違法なものであると判断される。
結論
本件ガソリンには石油製品配給規則が適用されるため、無罪を言い渡した原判決は破棄され、本件は地方裁判所に差し戻される。
実務上の射程
統制経済下における公法上の規制範囲に関する判例であり、物資の特殊な由来(進駐軍用等)を理由に規制の網から外れることはないとする。現代の司法試験においては、行政法や刑法における「法令の適用範囲」の解釈手法として、明文の除外規定がない限り目的論的に広く解釈する実務の姿勢を示す一例となる。
事件番号: 昭和26(あ)1062 / 裁判年月日: 昭和29年2月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】石油製品配給規則の適用に関し、軽油に該当するものであれば、その品質のいかんを問わず、すべて同規則の適用対象となる。 第1 事案の概要:被告人が行った石油製品の取引について、当該物件が「軽油」に該当するかが争点となった。第一審では、証拠に基づき当該物件が軽油であると認定されたが、被告人側はこれが統制…
事件番号: 昭和26(れ)159 / 裁判年月日: 昭和26年4月26日 / 結論: 棄却
所論は上告適法の理由とは認められない。ことに相被告人より上告趣意書が提出されますればこれを有利に援用するとの上申書はその内容が未必的で不明確でこれに対し当審で判断を与えることができないから、適法な上告理由に当らないこと明らかであつて、援用できない。
事件番号: 昭和27(あ)1120 / 裁判年月日: 昭和28年7月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】自動車揮発油の譲渡先および譲渡場所の変更を伴う訴因変更について、公訴事実の同一性の範囲内にあるとして、その適法性を認めた。 第1 事案の概要:被告人が自動車揮発油を譲渡した事案において、第一審において、当該揮発油の「譲渡先」および「譲渡場所」をそれぞれ変更する訴因変更の手続きが行われた。原判決はこ…
事件番号: 昭和25(あ)1520 / 裁判年月日: 昭和26年3月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】肥料配給統制規則等に基づき処罰の対象となる行為は、割当公文書の提示なく硫安を譲渡する現実の行為(引渡し)を指し、その前提となる売買契約そのものではない。 第1 事案の概要:被告人らは、肥料配給統制規則等の規定に反し、割当公文書の提示を受けることなく、硫安を他者に譲渡した。一審判決はこの譲渡行為を処…