判旨
共同正犯の成立において、犯行に加わった動機は単なる主観的事情に過ぎず、共同正犯としての刑事責任を阻却する事由とはならない。
問題の所在(論点)
犯行の動機が、共同正犯の成立を妨げ、またはその刑事責任を阻却する事由となり得るか。
規範
共同正犯(刑法60条)の成否および責任の有無を判断するにあたり、個々の犯行の動機は、犯罪の構成要件や責任の存否を直接左右するものではなく、単なる主観的な事情に留まる。
重要事実
被告人は、本件犯行に共同正犯として関与したが、その犯行に至る特定の動機(詳細は判決文からは不明)が存在することを理由に、共同正犯としての責任を免れるべきであると主張して上告した。
あてはめ
被告人が主張する事由は、本件犯行に至る単なる「動機」に過ぎない。共同正犯の責任は、共同実行の意思に基づき互いに利用し合って犯罪を実現した点に求められるところ、動機は構成要件的故意や共謀を否定するものではなく、共同正犯の責任を阻却するに足りる法的根拠とはなり得ない。
結論
被告人の主張する動機は共同正犯の責任を阻却する事由とはならず、上告は棄却される。
実務上の射程
共犯の成否を論じる際、主観的な動機の有無が犯罪の成立(責任)を否定するものではないことを端的に示す際に用いる。答案上では、被告人が主張する特殊な事情が、責任阻却事由(違法性阻却事由)に当たらないことを簡潔に否定する論拠として機能する。
事件番号: 昭和25(れ)1892 / 裁判年月日: 昭和26年4月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】詐欺罪における犯行の動機や背景事情に関する事実は、犯罪の成否に直接影響する構成要件的要素ではない。したがって、共犯者や仲介者との間の契約関係の詳細に齟齬があったとしても、欺罔行為及び不法領得の意思が認められる限り、詐欺罪の成否を左右しない。 第1 事案の概要:被告人は、知人であるA及びBらから、長…