判旨
被告人の供述が取調官の強制による虚偽の疑いがある場合であっても、当該供述を記録した取調書が証拠として採用されていない以上、上告理由とはならない。
問題の所在(論点)
被告人が警察官の強制により虚偽の陳述をさせられたと主張する場合、その取調書が証拠として採用されていないときでも、判決に影響を及ぼす違法として上告理由となるか。
規範
自白の任意性に疑いがある場合であっても、裁判所が当該供述を証拠として採用せず、事実認定の基礎としていない場合には、当該供述の成立過程を理由に判決を破棄することはできない。
重要事実
被告人Aら4名は、一審・二審の事実認定に不服を申し立てるとともに、警察での取調べにおいて警察官から強制され、虚偽の陳述をさせられたと主張して上告した。しかし、記録上、強制があった事実は認められず、かつ、原審(二審)は警察官作成の取調書を証拠として一切採用していなかった。
あてはめ
本件において、被告人らは取調べでの強制を主張するが、一件記録上、強制の証跡は認められない。また、原審は警察官作成の取調書を証拠として全く用いていない。したがって、仮に取調べ段階で不適切な働きかけがあったとしても、それが判決の基礎となった証拠に影響を与えていない以上、判決の正当性を左右するものではない。
結論
本件上告には理由がないため、棄却される。
実務上の射程
刑事訴訟法319条1項(自白の証拠能力)の論点に関連する。違法収集証拠排除法則や自白排除法則の文脈で、証拠として採用されていない段階での違法が、直ちに判決自体の違法に直結しないことを示す実例として利用できる。ただし、本判決は応急措置法下のものであり、現代の憲法38条2項の解釈においては、自白の派生証拠の排除等、より広い検討が必要となる点に留意すべきである。
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