原審が昭和二四年一〇年二四日の再開決定を為すにあたり、被告人に対する窃盗屠場法違反被告事件の記録を姫路区検察庁から取寄せる決定をしたことは所論のとおりであるが、原審裁判長はその第六回公判廷で右取寄記録中の被告人及びAに対する各司法警察官の聴取書を読聞けていることに鑑み、該記録が前記公判廷に顕出されたものであることは明でもる。そして記録取寄の証拠決定をした場合には、所論のように記録全部について証拠調をしなくともその取寄記録を公判廷に顕出せしめれば証拠決定は完全に施行せられたことになるものといえるのであり他方原判決は右取寄記録を証拠にとつていないことは原判文で明であるから、所論は何れの点よりするも採用の限りでない。
記録取寄決定の施行
旧刑訴法344条2項
判旨
裁判所が記録取寄の証拠決定をした場合、その記録全部について証拠調べをしなくても、当該記録を公判廷に顕出させれば、証拠決定の施行として必要かつ十分である。
問題の所在(論点)
裁判所が記録取寄の証拠決定をした際、その記録の「全部」について証拠調べの手続を履践しなければ、証拠決定の施行として不十分であり、違法となるか。
規範
裁判所が刑事訴訟手続において記録取寄の証拠決定を行った場合、その証拠調べの実施にあたっては、必ずしも記録の全部について証拠調べを行う必要はない。取寄せた記録の一部であっても、これを公判廷に顕出(内容の告知等)させれば、証拠決定の施行として手続上は完結したものと解される。
重要事実
被告人は強盗殺人等の罪で起訴され、原審において窃盗・屠場法違反被告事件の記録を検察庁から取り寄せる旨の証拠決定がなされた。原審裁判長は、第六回公判廷において、当該取寄記録のうち被告人および関係人に対する各司法警察官聴取書を読み聞かせたが、記録の全部について証拠調べを行ったわけではなかった。被告人側は、記録全部の証拠調べが行われていない点等を理由として、上告を申し立てた。
あてはめ
原審において裁判長は、取寄記録のうち特定の聴取書を公判廷で読み聞かせている。これにより、当該記録は公判廷に「顕出」されたものと認められる。証拠決定に基づき取り寄せられた記録については、その全部を証拠調べの対象とする必要はなく、一部であっても公判廷に顕出させれば、証拠決定の執行としては完全に施行されたものといえる。また、原判決はそもそも当該取寄記録を事実認定の証拠として採用していないため、手続上の不備は存在しない。
結論
記録取寄の証拠決定に基づき、その一部を公判廷に顕出させれば証拠決定の施行として足りる。したがって、記録全部の証拠調べがなされていないことを理由とする上告は理由がない。
実務上の射程
裁判所による職権または申請に基づく記録取寄の証拠決定がなされた際、その証拠調べの範囲(顕出の程度)に関する判断基準を示している。実務上は、取寄記録のうち必要な部分のみを選別して顕出させれば足りることを確認する趣旨で活用される。
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