判旨
控訴審における審判の対象となる公訴事実は、起訴状に引用された添付書類(司法警察官意見書等)の記載内容によって決定される。本件では、当該意見書に南京袋の窃取事実が記載されていたため、これを含めて判示することは違法ではない。
問題の所在(論点)
旧刑事訴訟法下において、起訴状に引用された添付書類の記載が審判対象(公訴事実)の範囲を決定する根拠となり得るか。
規範
控訴審の審判対象となる公訴事実は、起訴状において引用されている関係書類(司法警察官意見書等)の記載内容に基づき決定される。
重要事実
被告人が窃盗罪で起訴された際、起訴状には司法警察官意見書が引用されていた。原審(控訴審)は、南京袋2枚を窃取した事実を犯罪事実の一部として認定した。これに対し弁護人は、当該南京袋の窃取が審判対象に含まれていない旨を主張して上告した。
あてはめ
本件起訴状に引用されている司法警察官意見書には、原判決が認定した事実と同一の事実が記載されていた。具体的には、窃取した物件として「南京袋二枚」が明記されている。したがって、当該事実は有効に審判の対象に含まれていると評価できる。
結論
原審が南京袋の窃取事実を認定したことに違法はなく、本件上告は棄却される。
実務上の射程
本判決は旧法下の事案であるが、審判対象の特定に関する初期の判断を示している。現代の刑事訴訟法においては起訴状一本主義(256条6項)が採用されているため、添付書類によって審判対象を確定させる手法は許容されない点に注意が必要である。公訴事実の特定(256条3項)という文脈では、現行法下ではあくまで起訴状の記載そのものを基準に検討すべきである。
事件番号: 昭和25(れ)1974 / 裁判年月日: 昭和26年4月17日 / 結論: 棄却
次ぎに原判決は被告人の原審公廷における判示同趣旨の供述を証拠として採用しているので、原審公判調書を調べてみると、裁判長は、被告人が前記の日時及び場所において衣類、砂糖等の外に現金二万円をも窃取した旨の記載ある第一審判決の事実を読み聞かせて、「この事実はどうか」と問うたのに対して、被告人は「相違ありません」と答えている。…