判旨
控訴審において、控訴趣意書に記載された事実を引用して判決理由を構成することは刑事訴訟規則246条により許容される。
問題の所在(論点)
控訴審判決において、控訴趣意書に記載された事実を引用して判決理由を構成することが刑事訴訟法上許されるか、および判決文の表現の解釈が問題となった。
規範
刑事訴訟規則246条に基づき、判決書において控訴趣意書に記載された事実を引用して事実認定や判断の基礎とすることは、訴訟法上適法である。また、判決文中の表現が文脈上、犯情と被告人の前歴の双方にかかっていることが明らかであれば、理由不備等の違法は認められない。
重要事実
被告人が控訴した際、弁護人は控訴趣意書において特定の事実を主張した。これに対し、後続の裁判所(原審)は、判決理由の中で「記録に現われている」事由として控訴趣意書の記載事実を引用する形で犯情や被告人の前歴について判断を示した。弁護人は、このような事実の引用や表現の不明確さが判例違反および訴訟法違反(刑訴法405条)に当たると主張して上告した。
あてはめ
刑事訴訟規則246条は、控訴趣意書に記載された事実の引用を明示的に許容している。本件においても、原判決が控訴趣意書の記載を引用したことは同規則に則った正当な手続であるといえる。また、弁護人が指摘した「記録に現われている」との文言は、その前後の文脈から判断して、犯情のみならず被告人の前歴の双方にかかっていることが客観的に明らかである。したがって、理由の不備や矛盾といった訴訟法上の違法は存在しないと解される。
結論
原判決に憲法違反や判例違反、あるいは刑訴法411条を適用すべき重大な違法は認められないため、上告を棄却する。
実務上の射程
判決書の簡略化・効率化の観点から認められている刑事訴訟規則246条の運用の適法性を確認したものである。答案作成上は、判決理由の不備(刑訴法378条4号)が争点となる場面において、引用形式の判決が許容される根拠として規則246条を摘示する際に参照すべき判例である。
事件番号: 昭和26(あ)3450 / 裁判年月日: 昭和26年12月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告審において事実誤認の主張は適法な上告理由とならず、原判決の事実認定の手続に違法がない限り、判例違反の主張も認められない。 第1 事案の概要:被告人および弁護人が、第一審および控訴審の事実認定に誤りがあるとして上告した事案。弁護人は、原判決(控訴審)が第一審の事実認定を維持した点について、判例違…