判旨
控訴審判決において、裁判所が適法と認めるときは、控訴趣意書に記載された事実を引用して判決の理由とすることができる。
問題の所在(論点)
控訴審判決において、控訴趣意書に記載された事実を引用して判決の理由を構成することが、適正な訴訟手続(憲法31条、刑訴法等)として認められるか。
規範
裁判所が適法と認めるときは、控訴趣意書に記載された事実を引用して判示することができる(刑事訴訟規則246条参照)。このような引用による判示は、適法な訴訟手続として許容される。
重要事実
被告人が控訴した事件において、控訴審(原審)は判決の理由を述べるにあたり、弁護人が提出した控訴趣意書に記載された事実を引用する形式をとった。これに対し弁護人は、かかる手法は憲法31条(適正手続の保障)に違反するものであり、訴訟手続の瑕疵であるとして上告した。
あてはめ
刑事訴訟規則246条は、控訴審において裁判所が適当と認める場合に事実の引用を認めている。本件においても、原判決が控訴趣意書の記載事実を引用したことは、同規則に基づく適法な訴訟運営の範囲内である。したがって、被告人が主張するような憲法31条違反の実質を伴う訴訟法令違反は認められない。
結論
控訴趣意書の記載事実を引用した原判決の手法に瑕疵はなく、憲法31条にも違反しない。
実務上の射程
控訴審における判決書作成の簡略化・効率化を肯定する射程を持つ。答案上は、控訴審判決の理由不備や手続違背が問われた際、規則246条を根拠に引用の適法性を肯定する論拠として使用できる。ただし、あくまで内容が『適当』である場合に限られる点に留意が必要である。
事件番号: 昭和25(あ)3137 / 裁判年月日: 昭和27年5月6日 / 結論: 棄却
原判決は第一審判決の量刑を不当としてこれを破棄し刑訴四〇〇条但書により直ちに判決することができるものとして、第一審判決の認定した事実に法律を適用したものであつて、かかる場合原判決は第一審判決の判示事実並びに証拠を引用したものと解することができる。(昭和二六年(あ)第二二五号、同年八月九日第三小法廷判決参照)。