原判決は第一審判決の量刑を不当としてこれを破棄し刑訴四〇〇条但書により直ちに判決することができるものとして、第一審判決の認定した事実に法律を適用したものであつて、かかる場合原判決は第一審判決の判示事実並びに証拠を引用したものと解することができる。(昭和二六年(あ)第二二五号、同年八月九日第三小法廷判決参照)。
量刑を不当として第一審判決を破棄自判する場合における原判決の事実摘示並びに証拠説明
刑訴法335条1項,刑訴法381条,刑訴法400条但書
判旨
控訴裁判所が第一審判決の量刑を不当として破棄し、自判する場合において、第一審判決の認定した事実を引用して法律を適用することは、刑事訴訟法上許容される。
問題の所在(論点)
控訴裁判所が自判するに際し、第一審判決の認定事実および証拠を引用することが、刑事訴訟法335条(判決の記載事項)等の法令に違反しないか。
規範
控訴審において、第一審判決の量刑を不当として破棄し、刑事訴訟法400条但書に基づき直ちに判決(自判)をする場合、控訴裁判所は第一審判決の判示事実および証拠を引用して判決することができる。
重要事実
被告人が第一審判決を受け、控訴審がその量刑を不当として破棄した事案である。原判決(控訴審)は、第一審が認定した事実に法律を適用して自ら判決を言い渡したが、その際、事実認定の詳細を独自に記述せず、第一審の判示事実を引用する形式をとった。これに対し被告人側が、判決書に罪となるべき事実が示されていない等として、刑事訴訟法335条違反および憲法31条違反を主張して上告した。
あてはめ
控訴裁判所は、第一審判決の量刑が不当であると判断して破棄したものであるが、事実認定そのものについては第一審の認定を維持している。このような場合、判決の理由に改めて事実を詳述せずとも、第一審判決の判示事実および証拠を引用することで、刑事訴訟法上の判決の記載要件を充足したものと解される。したがって、原判決が第一審の事実認定を引用して法律を適用した手続に、刑事訴訟法335条違反等の違法は認められない。
結論
控訴審が自判する場合に第一審の判示事実等を引用することは適法であり、憲法31条にも違反しない。
実務上の射程
控訴審が自判する際の簡略化された判決書の作成実務を肯定した判例である。答案上は、控訴審の判決に「罪となるべき事実」の判示が欠けているとの指摘に対し、第一審の引用によって補充されていることを説明する際に用いる。
事件番号: 昭和27(あ)992 / 裁判年月日: 昭和27年10月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴審判決において、裁判所が適法と認めるときは、控訴趣意書に記載された事実を引用して判決の理由とすることができる。 第1 事案の概要:被告人が控訴した事件において、控訴審(原審)は判決の理由を述べるにあたり、弁護人が提出した控訴趣意書に記載された事実を引用する形式をとった。これに対し弁護人は、かか…