判旨
事実認定の違法を理由とする上告について、原判決の掲げる証拠によって判示事実を認定したことが是認できる場合には、証拠によらずに事実を認定したという違法は認められない。
問題の所在(論点)
原判決における事実認定が、証拠に基づかない不当なものであるか、すなわち証拠裁判主義および自由心証主義の限界を逸脱したものであるかが問題となった。
規範
事実認定が適法であるためには、判決において掲げられた証拠によって判示事実を合理的に認定し得るものであることを要する(自由心証主義の合理的制約)。
重要事実
被告人が原判決について、証拠に基づかずに事実を認定した違法(旧刑訴法下の事実誤認または証拠法則違反)があるとして上告した事案。原判決がどのような具体的な事実をいかなる証拠に基づき認定したかについては、本判決文からは不明である。
あてはめ
最高裁判所は、原判決が掲げている証拠関係を検討した。その結果、それらの証拠によって判示事実を認定したことは是認し得ると判断した。したがって、証拠に基づかない事実認定があるとする弁護人の主張は、具体的根拠を欠くものといえる。
結論
本件上告は理由がないため、棄却される。原判決の事実認定に違法はない。
実務上の射程
極めて簡潔な判決であり、具体的な判断基準の提示はないが、刑事訴訟における事実認定が証拠に基づき合理的な範囲内で行われている限り、上告審はこれを維持するという運用の原則を示している。答案上は、事実誤認の有無を検討する際の前提となる証拠裁判主義の確認として位置づけられる。
事件番号: 昭和26(あ)5253 / 裁判年月日: 昭和28年4月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴審判決が、第一審判決の認定した事実は証拠により十分に認められる旨を判示した場合には、控訴趣意として主張された事実誤認の主張に対し、必要な判断を示したものと解される。 第1 事案の概要:被告人が原審(控訴審)において、第一審判決には事実誤認がある旨を控訴趣意として主張した。これに対し、原判決(控…