判旨
法定の上告趣意書提出期間経過後に弁護届を提出した弁護人が作成した上告趣意書は、有効な書面として受理されず、裁判所はこれに対して判断を示す必要はない。
問題の所在(論点)
法定の上告趣意書提出期間が経過した後に提出された弁護届に基づく上告趣意書について、裁判所は判断を示す必要があるか。弁護人の資格提示の時期と書面提出の有効性が問題となる。
規範
弁護人は、法定の上告趣意書提出期間内にその資格を証する書面(弁護届)を提出した上で、期間内に上告趣意書を提出しなければならない。期間経過後に弁護人としての資格を得た(弁護届を提出した)者が提出した書面は、適法な上告趣意書としての効力を有しない。
重要事実
被告人AおよびBの弁護人である土家健太郎は、上告趣意書を提出した。しかし、同弁護人が最高裁判所に弁護届を提出したのは、法定の上告趣意書提出期間が経過した後であった。
あてはめ
本件において、弁護人土家による弁護届の提出は法定期間経過後に行われている。したがって、同人が提出した上告趣意書は、適法な選任手続を経た弁護人によって期間内に提出されたものとは認められない。有効な上告趣意書が存在しない以上、裁判所はその内容について説明(判断)を付す義務を負わない。
結論
期間経過後に弁護届を提出した弁護人の上告趣意書については、説明を要しない。本件各上告は棄却される。
実務上の射程
刑事訴訟手続における期間制限の厳格性を象徴する判例である。答案上は、弁護人の訴訟行為の有効要件として、期間内に弁護人選任届が提出されている必要があることを示す際に参照し得る。特に、上告審における弁護人の役割と期間遵守の重要性を裏付ける根拠となる。
事件番号: 昭和26(れ)1888 / 裁判年月日: 昭和26年11月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本判決は、弁護人の上告趣意がいずれも刑訴法405条の上告理由に該当せず、かつ同法411条による職権破棄の事由も認められないとして、上告を棄却したものである。 第1 事案の概要:被告人側が下級審の判決に対して上告を申し立てたが、提出された上告趣意書の内容は刑訴法が定める具体的な上告理由に適合するもの…