上告趣意書を差出すべき法定期間を經過した後に差出された辯護人選任届によつてはその以前に差出された辯護人名儀の上告趣意書を追完してその差出を有効とすることができないことは當裁判所の判例とするところである。
上告趣意書を提出した辯護人が期間經過後に辯護届を提出した場合の上告趣意書の効力
舊刑訴法423條
判旨
上告趣意書の差出期間経過後に提出された弁護人選任届によって、期間内に提出されていた無権限の弁護人名義による上告趣意書を追完し有効とすることはできない。
問題の所在(論点)
上告趣意書の提出期間内に、弁護人選任届を提出していない弁護人が趣意書を提出した場合、期間経過後に選任届を提出することで、当該趣意書の提出を有効なものとして追完できるか。
規範
上告趣意書の差出は法定期間内になされる必要があり、期間経過後の弁護人選任届によって、期間内に無権限者(選任前)が提出した上告趣意書の効力を追完し、有効なものと扱うことは認められない。
重要事実
被告人の弁護人は、上告趣意書差出期間の最終日である昭和24年1月17日に、弁護人名義で再上告趣意書を提出した。しかし、被告人が当該弁護人を選任する旨の書面(選任届)が提出されたのは、期間経過後の同月20日であった。
あてはめ
本件では、上告趣意書の差出期間内に提出された書面は、当時まだ正式に弁護人として選任されていなかった者によるものである。選任届が提出されたのは期間経過後であり、判例の趣旨に照らせば、この後追いの選任届によって過去の無権限な提出行為を有効化することはできない。したがって、実質的に法定期間内に有効な上告趣意書が提出されなかったものと評価せざるを得ない。
結論
本件上告は、法定の期間内に上告趣意書が差し出されなかったものとして、棄却される。
実務上の射程
弁護人の訴訟行為の前提となる選任届の提出時期に関する厳格な準則を示すものである。答案上は、控訴趣意書や上告趣意書の提出権限の有無が問題となる場面で、期間制限の厳格性と選任の有無を基礎付ける事実として引用すべき判例である。
事件番号: 昭和26(れ)894 / 裁判年月日: 昭和26年9月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所は、弁護人の上告趣意について刑事訴訟法405条の定める上告理由(憲法違反・判例違反)に該当しないと判断し、職権で破棄すべき事由もないとして上告を棄却した。 第1 事案の概要:被告人両名が上告を提起し、弁護人が上告趣意を提出したが、当該趣意が法廷の上告理由(憲法違反や判例相反)を具体的に構…