判旨
裁判所が証拠申請を採択するか否かはその専権に属する事項であり、犯罪事実に限らず情状に関しても十分な審理が尽くされている場合には、証拠申請の却下を違法とすることはできない。
問題の所在(論点)
裁判所による証拠申請の却下(証拠決定の裁量権)の適否、および、情状に関する審理不尽の有無。
規範
証拠申請の採否は裁判所の専権(裁量)に属する。裁判所が証拠調べを必要としないと判断した場合には、それを却下することができる。
重要事実
被告人側が原審において証拠申請を行ったが、原審はこれを採用しなかった。被告人側は、原審の証拠申請の採否が不当であり、また審理不尽であるとして上告した。原審の公判調書によれば、犯罪事実のみならず情状についても十分な審理が行われていた。
あてはめ
証拠申請を採択するか否かは原審の専権に属する。本件において原審の公判調書を精査すると、被告人の犯罪事実のみならず、量刑の判断に資する情状についても十分に審理を尽くした形跡が認められる。したがって、原審が特定の証拠申請を採用しなかったとしても、審理不尽の違法があるとは認められず、裁量権の逸脱・濫用はないといえる。
結論
本件証拠申請の却下は裁判所の適法な専権行使であり、審理不尽の主張には理由がないため、上告を棄却する。
実務上の射程
刑事訴訟法における証拠決定の裁量権(刑訴法297条等)を裏付ける判例である。答案上は、裁判所が証拠申請を却下したことの違法性を論じる際、単に証拠の関連性だけでなく、審理全体を通じて「実質的に審理が尽くされているか」という視点を示すために活用できる。
事件番号: 昭和26(れ)1572 / 裁判年月日: 昭和26年11月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】判決文には具体的な判旨が記載されておらず、上告理由が刑事訴訟法405条に該当せず、同法411条を適用すべき事由も認められないとして上告を棄却したものである。 第1 事案の概要:被告人が原判決の認定事実に異議を唱え、弁護人が上告趣意を申し立てた事案。しかし、判決文からは具体的な起訴事実や事件の背景、…