記録に徴するに本件は昭和二四年四月二〇日に控訴申立がなされたのであるから原審においては新少年法の規定を適用すべきものである(新少年法は昭和二四年一月一日から施行された)従つて旧少年法に基いて原判決の違法を主張する論旨は理由がない。なお所論旧少年法第六四条第三一条に相当する規定は新少年法第五〇条第九条であるが同規定は訓示的規定であると解すべきであるから(昭和二五年(れ)第三四〇号同二五年五月二五日第一小法廷判決参照)同条の規定に違反するところがあつたとしてもこれを以て違法ということにはならない。
新少年法による事件につき旧少年法に基き原判決の違法を主張する上告の適否―新少年法第五〇条第九条は訓示的規定である
旧刑訴法409条,新少年法50条,新少年法9条
判旨
少年法9条および50条が定める少年の被疑事件等における心身鑑別や資質等の調査に関する規定は訓示的規定である。したがって、これらの手続に違反があったとしても、直ちに裁判の違法事由となるものではない。
問題の所在(論点)
少年法9条および50条が定める心身鑑別・調査手続の性質は、裁判の効力を左右する効力規定か、あるいは単なる訓示規定か。また、同手続の欠如が判決の違法事由となるか。
規範
少年法9条(少年の心身鑑別)および50条(少年の資質等の調査)の規定は、少年の処遇を適切に行うための指針を定めた「訓示的規定」であると解すべきである。したがって、これら所定の手続を欠いたとしても、手続全体の効力に影響を及ぼし、判決を違法とする事由にはならない。
重要事実
被告人が少年の段階において、刑事事件として控訴が申し立てられた事案である。被告人側は、旧少年法下(昭和24年1月1日施行の現行少年法以前)の規定に基づき、必要な調査手続が行われていないことを理由に、原判決には違法があるとして上告を申し立てた。
あてはめ
本件では、控訴申立てが昭和24年4月20日になされており、施行後の少年法が適用される。被告人側が主張する調査手続の欠如については、少年法50条および9条の規定に照らして検討されるべきであるが、これらは裁判の効力に直結しない訓示的規定にすぎない。したがって、仮に指摘された調査手続に違反があったとしても、それを理由に判決を違法と評価することはできない。
結論
少年法9条、50条の規定に違反があったとしても違法とはならないため、上告を棄却する。
実務上の射程
少年の刑事手続における調査規定が訓示規定であることを示した初期の重要判例である。答案上は、少年法上の手続的瑕疵が刑事訴訟の効力に与える影響を論じる際の根拠として活用できるが、現代の適正手続の観点からは、著しく不当な調査の不実施が防御権を侵害し、重大な手続違反とされる可能性を留保して論じることが望ましい。
事件番号: 昭和27(あ)5722 / 裁判年月日: 昭和29年3月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】少年法50条および9条の規定は、少年の刑事事件の審理における適正な手続を保障するための指針であるが、これらに違反したとしても直ちに判決に影響を及ぼす違法とはならない訓示規定である。 第1 事案の概要:被告人が少年の刑事事件として起訴された事案において、原審が少年法50条および9条の規定を訓示規定で…