一 被告人が(舊)少年法にいわゆる少年たることは、舊刑訴第三六〇條にいわゆる「罪となるべき事実」に屬しない。 二 舊刑訴法第三六〇條にいわゆる「法令の適用」とは、具体的犯罪構成事實に適用すべき實体法規の適用をいうのであつて、舊少年法第八條第一項の適用の如きはこれに含まれない。 三 少年法にいわゆる少年であるか否かは、原判決言渡の時における年令に從うべきものであることは、既に々當裁判所の判例とするところである
一 被告人が少年たることと舊刑訴法第三六〇條にいわゆる「罪となるべき事實」 二 舊刑訴法第三六〇條にいわゆる「法令の適用」の意義と舊少年法第八條第一項 三 少年法にいわゆる少年の年令を定める標準
舊刑訴法360條,舊刑訴360條,舊少年法8條1項
判旨
判決書の事実適示において、被告人が少年であることは「罪となるべき事実」には含まれず、また少年法等の実体法規以外の規定は、現実に適用されたことが明らかであれば、判決書に明示がなくとも法令適用の欠落とはいえない。
問題の所在(論点)
被告人が少年であるという事実が「罪となるべき事実」に含まれるか。また、少年法の規定を判決書の法律適用欄に明示しないことが「法令の適用の不備」にあたるか。
規範
1. 有罪判決に付すべき「罪となるべき事実」とは、具体的犯罪構成事実を指す。2. 「法令の適用」とは、具体的犯罪構成事実に適用すべき実体法規を指す。3. 実体法規以外の法規(少年法等の手続的側面を伴う特則等)については、現実にこれを適用したことが判決書全体から認められる限り、特に法律適用の箇所に示さなくとも違法ではない。
重要事実
昭和6年6月5日生の被告人に対し、原審(昭和23年12月10日判決)は不定期刑を言い渡した。しかし、原判決の事実理由欄には被告人が少年である旨の明示がなく、擬律欄にも少年法の規定が示されていなかった。弁護人は、これが罪となるべき事実の不備および法令適用の欠落にあたるとして上告した。
あてはめ
まず、少年であるという属性は具体的犯罪構成事実そのものではないため、「罪となるべき事実」として事実理由欄に明示する必要はない。次に、本件原判決は氏名表示箇所に生年月日を記載し、主文で不定期刑を言い渡している。不定期刑は少年(当時18歳未満)であることを前提とする処遇であり、判決の全体から原審が少年法を適用したことは明白である。したがって、適用法規として少年法の条項が明示されていなくても、実質的な法令適用の誤りや欠落があるとはいえない。
結論
原判決に違法はなく、上告を棄却する。少年法適用の有無は、判決書全体の記載から客観的に判断されれば足りる。
実務上の射程
刑事訴訟法第335条第1項(罪となるべき事実、証拠、法令の適用)の解釈を画定する。特に「罪となるべき事実」の範囲を構成要件該当事実に限定し、被告人の身分等の付随的事実の要否を示した点に意義がある。答案上は、判決書の記載事項の不備が論点となった際の「罪となるべき事実」の定義として引用可能である。
事件番号: 昭和23(れ)1631 / 裁判年月日: 昭和24年3月29日 / 結論: 棄却
一 「法令ノ適用」というのは、これらすべての法規の適用をさしているのではなく「罪トナルベキ事實」に適用されて被告人の刑事責任を生ずるに直接關係ある法令の正條の摘用を意味しているのである、されば所論の昭和二二年法律第一二四號附則第四項のような手續的法規の適用は有罪判決に示す必要がないのである、また假りに右の規定が有罪判決…