裁判長が「なお調べたい事があるので本日判決言渡は延し、次回公判期日は追而指定する」旨告げたからとて、これを所論のように弁論再開したものと認めなければならない理由はない。
裁判長が「なお調べたいことがあるので判決言渡は延し、次回公判期日は追而指定する」旨の告示と弁論再開の有無
旧刑訴法322条,旧刑訴法350条
判旨
被告人が公判廷において、過去の供述調書等を読み聞かされて内容に相違ない旨を述べた場合、その公判廷での供述自体を証拠として採用できる。また、強盗傷人罪の成立には、暴行の故意または少なくとも傷害の未必の故意があれば足りる。
問題の所在(論点)
1. 公判廷外の供述が強制に基づくと疑われる場合でも、公判廷でその内容を認める旨の供述をしたときは証拠として採用できるか。2. 強盗傷人罪の成立に、確定的な傷害の故意が必要か。
規範
1. 公判廷における供述の証拠能力:被告人が公判廷で、過去の供述記載書類の内容を読み聞かされ、それが自己の供述と相違ない旨を認めた場合、裁判所はその公判廷での供述内容を独立した証拠として採用することができる。2. 強盗傷人の故意:致傷の結果について、暴行の故意または少なくとも傷害の未必の故意が認められれば、強盗傷人罪の成立に欠けるところはない。
重要事実
被告人は被害者に対し、刃渡り2寸余のナイフを突きつけて脅迫・暴行を加え、その結果として負傷させた。第一審において、被告人は検察官の聴取書等の内容を読み聞かされ、「その通り相違ありません」と答えた。弁護人は、元となる調書が強制に基づくものである可能性や、診断書の氏名誤記、裁判の迅速性の欠如、および傷害の故意の欠如を理由に上告した。
あてはめ
1. 証拠能力について:原判決は過去の調書自体を証拠としたのではなく、公判廷において被告人が「相違ない」と述べた供述そのものを採用している。したがって、仮に調書作成段階に強制があったとしても、公判廷での自発的な承認供述を証拠とすることに違法はない。2. 故意について:刃渡り2寸余のナイフを突きつける行為には、少なくとも傷害の未必の故意が認められる。この暴行・脅迫から致傷の結果が発生している以上、強盗傷人罪の既遂が成立する。3. その他:診断書の氏名誤記は前後関係から明白な誤記であり、裁判の遅延は直ちに判決破棄の理由とはならない。
結論
被告人の公判廷での供述を証拠として採用した判断、および強盗傷人罪の成立を認めた原判決は正当であり、上告を棄却する。
実務上の射程
伝聞例外(刑訴法321条以下)の議論を回避し、公判廷での供述(320条1項の例外)として構成する際の論拠となる。また、強盗傷人における故意の程度が、殺意や確定的傷害の故意まで不要であることを示す実務上重要な基準である。
事件番号: 昭和24(れ)2673 / 裁判年月日: 昭和25年3月2日 / 結論: 棄却
一 公判において檢察官のする被告事件の要旨の陳述は、豫審終結決定書が豫審請求書と内容が同一である限り、たとえ右決定が無効のものであつても、その決定書に基いてされても差支ない。 二 昭和二二年五月三日の前に豫審が終結しても、その決定書の送達が同日前になされなかつたときは、豫審終結決定は効力を生せず、同日以後は豫審の請求に…
事件番号: 昭和23(れ)1861 / 裁判年月日: 昭和24年4月30日 / 結論: 棄却
自白を補強する証拠は、必ずしも自白にかかる犯罪構成事実の全部にわたる必要はなく、自白にかかる事実の真実性を保障し得るものであれば足りる。