一 公判において檢察官のする被告事件の要旨の陳述は、豫審終結決定書が豫審請求書と内容が同一である限り、たとえ右決定が無効のものであつても、その決定書に基いてされても差支ない。 二 昭和二二年五月三日の前に豫審が終結しても、その決定書の送達が同日前になされなかつたときは、豫審終結決定は効力を生せず、同日以後は豫審の請求により事件は當然に當該裁判所に係屬する。 三 審判の併合分離は訴訟法上裁判所の裁量に委されているところである。そして記録を精査するも原審が被告人の審理を他の共犯者の審理と分離してしたのは被告人が病氣であつた爲めであつて、裁判所の裁量權を濫用したと認められる形跡はいささかも發見することができないのである。されば原審が被告人の審理を分離したことを非難する論旨はあたらない。
一 被告事件の要旨の陳述の方法 二 日本國憲法施行と未送達の豫審終結決定書の効力 三 審判の併合分離と裁判所の自由裁量
舊刑訴法345條1項,舊刑訴法288條,舊刑訴法312條,舊刑訴法50條,舊刑訴法348條,刑訴應急措置法9條
判旨
共犯者による公判供述は、被告人に十分な反対尋問の機会が与えられている限り、独立した証拠能力を有し、これに基づいて犯罪事実を認定することは適法である。
問題の所在(論点)
共同被告人(共犯者)の公判廷における供述に証拠能力が認められるか。また、被告人に反対尋問の機会が保障されている場合、その供述を主要な証拠として事実認定に用いることができるか。
規範
共同被告人または共犯者の公判廷における供述について、被告人に十分な訊問の機会が与えられていたのであれば、その供述は独立した証拠能力を有する。裁判所は自由心証に基づき、他の補強証拠を待たずとも当該供述を証拠として事実認定を行うことが可能である。
重要事実
被告人A、B、C、Dは、被害者Eから金品を強取することを共謀した。実行に際し、Cが木棒で被害者を殴打し、逃げ出した被害者をAが追いかけ、土手下に突き落とす等の暴行を加えた。Bが金品を強取し、一連の暴行により被害者に約10日間の加療を要する傷害を負わせた。第一審において、共に公判審理を受けていた相被告人(共犯者)が犯行態様について供述し、裁判所はこの共犯者の供述等を証拠として、被告人らを強盗傷人の共同正犯と認定した。被告人側は、共犯者の供述のみで事実を認定したことの違法等を主張して上告した。
あてはめ
本件において、相被告人の供述は第一審の公判廷においてなされたものであり、被告人にはこれに対して十分な訊問(反対尋問)の機会が与えられていた。共犯者であるという一事をもって、その供述の証拠力が否定されたり、独立した証拠としての適格を欠くと解すべき法令上の根拠は存在しない。したがって、事実審裁判所が自由心証に基づき、これら共犯者の供述を選択し、犯罪事実の認定に用いた判断に採証法則違反の違法は認められない。
結論
相被告人の公判廷における供述は証拠能力を有し、これに基づいて強盗傷人罪の共同正犯を認定した原判決に違法はない。上告棄却。
実務上の射程
伝聞例外(刑訴法321条等)の議論に先行する、公判廷供述の証拠能力に関する基本的判例。共犯者の供述の信用性評価は裁判所の合理的な裁量に属すること、及び反対尋問権が確保されていれば証拠として十分活用できることを示す。実務上は、供述の信用性を争う際の前提知識として機能する。
事件番号: 昭和25(あ)911 / 裁判年月日: 昭和26年2月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】共犯者の公判供述は、他の被告人との関係では証人としての供述または書証としての公判調書の性質を有し、これらを証拠として事実を認定することは適法である。 第1 事案の概要:被告人AおよびBが起訴された事件において、第一審は相被告人(共犯者)であるCの公判供述(昭和24年9月5日付)を証拠として採用し、…