判旨
警察段階で拷問があったと主張される場合であっても、原判決が当該供述を証拠として採用していない以上、判決に証拠上の違法は認められない。
問題の所在(論点)
警察段階での拷問等の違法な取り調べがあったと主張される場合、その供述を証拠として用いていない原判決に証拠上の違法が認められるか。
規範
拷問等の不当な手段によって得られた供述が証拠として採用されていない場合、当該手段の存否にかかわらず、判決の証拠採択における違法性は否定される。
重要事実
被告人が警察署において拷問を受けた旨を主張し、証拠の違法性を争った事案である。しかし、原判決を確認すると、警察段階での被告人の供述は一切証拠として採用されていなかった。また、拳銃所持の事実については、他の証拠によって十分に認定されていた。
あてはめ
本件において、被告人は拷問の事実を主張するが、これを裏付ける資料は存在しない。仮に不当な取り調べがあったとしても、原判決は警察における被告人の供述を証拠として引用していない。したがって、違法に収集された可能性のある証拠を判決の基礎としていない以上、証拠法則上の違法があるとはいえない。また、犯罪事実の認定は他の適法な証拠に基づき合理的に行われている。
結論
警察における供述を証拠としていない以上、原判決に証拠上の違法はなく、上告は棄却される。
実務上の射程
自白の任意性(憲法38条2項、刑訴法319条1項)や違法収集証拠排除法則が問題となる場面で、当該証拠が実際に判決の基礎とされていない場合の違法性の有無を判断する際の反論として機能する。
事件番号: 昭和26(れ)588 / 裁判年月日: 昭和26年7月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】警察段階での自白が拷問によるものと疑われる場合であっても、それが証拠として引用されておらず、かつ他に拷問を裏付ける資料がない場合には、憲法38条違反の問題は生じない。また、原審で証人喚問の申請がなされていない以上、証人尋問の機会を奪ったとする違憲の主張は成立しない。 第1 事案の概要:被告人Aは警…
事件番号: 昭和25(れ)1525 / 裁判年月日: 昭和25年12月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の自白が拷問等の不当な手段により得られた疑いがある場合であっても、自白以前の否認供述等が任意になされたものであり、かつその内容が判決の結論に影響を及ぼさない場合には、自白の任意性の有無にかかわらず判決に影響はない。 第1 事案の概要:被告人は殺人事実について第一回から第四回までの聴取書作成時…
事件番号: 昭和24(れ)1152 / 裁判年月日: 昭和25年10月11日 / 結論: 棄却
公判廷外の証人訊問については弁護人立会のもとに行われていることとが記録上明白であるから被告人が立会しなくとも必ずしも所論憲法第三七条第二項に違背するものではない。(昭和二三年れ第一〇五四号同年九月二二日大法廷判決参照)論旨は理由がない。
事件番号: 昭和26(れ)1670 / 裁判年月日: 昭和26年12月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判が迅速を欠き憲法37条1項に違反したとしても、その理由のみによる破棄差戻しは裁判の進行を一層阻害し憲法の保障に矛盾するため、判決に影響を及ぼす事由には当たらない。また、公判廷における被告人の自白は、憲法38条3項にいう補強証拠を必要とする自白には含まれない。 第1 事案の概要:被告人が刑事事件…
事件番号: 昭和25(あ)2962 / 裁判年月日: 昭和27年5月6日 / 結論: 棄却
証拠書類と書面の意義が証拠となる証拠物とは、その書面の内容のみが証拠となるか又は書面そのものの存在又は状態等が証拠となるかによつて区別される。