公判廷外の証人訊問については弁護人立会のもとに行われていることとが記録上明白であるから被告人が立会しなくとも必ずしも所論憲法第三七条第二項に違背するものではない。(昭和二三年れ第一〇五四号同年九月二二日大法廷判決参照)論旨は理由がない。
公判決外の証人訊問に被告人が立会しなければ憲法に違反するか
憲法37条2項,旧刑訴法208条
判旨
自白が強制されたものであるとの疑いがある場合でも、被告人の供述以外にそれを裏付ける証拠がないときは、任意性を欠く自白として証拠能力を否定することはできない。
問題の所在(論点)
被告人が公判で「取調べ中に警察官から暴行を受けた」と主張しているものの、それを裏付ける客観的証拠がない場合、当該自白は憲法38条2項や刑訴法319条1項(旧刑訴法下の議論を含む)にいう強制による自白として証拠能力を否定されるか。
規範
自白の任意性に疑いがあるとして証拠能力を否定するためには、被告人の単なる主張のみでは足りず、その主張を認めるに足りる客観的な裏付け証拠が存在することを要する。
重要事実
被告人A、B、Cのうち、被告人Cに対する司法警察官の聴取書が証拠として採用された。被告人Cは、原審公判において警察官から暴行を受けたと述べて自白の強制を主張したが、同人が暴行を受けたと主張する以外に、その事実を認めるに足りる証拠は存在しなかった。
あてはめ
本件において被告人Cは、司法警察官による聴取書作成時に暴行が加えられた旨を主張する。しかし、記録上、被告人自身の供述以外に暴行の事実を裏付ける客観的証拠は存在しない。したがって、当該聴取書を直ちに「強制による自白」を記載したものと断定することはできず、これを証拠として採用した原判決に違法はない。
結論
被告人が自白の強制を主張しても、他にこれを認めるに足りる証拠がない限り、証拠能力を認めた原判決は適法である。
実務上の射程
自白の任意性に関する挙証責任の所在が議論される際、被告人側の主張のみでは任意性の疑いを生じさせるには不十分であるとする初期の判例として位置づけられる。実務上は、弁護側が任意性を争うにあたり、具体的な不当な取調べを示唆する客観的状況や証拠の提示が必要であることを示す。
事件番号: 昭和25(れ)1745 / 裁判年月日: 昭和26年2月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】警察段階で拷問があったと主張される場合であっても、原判決が当該供述を証拠として採用していない以上、判決に証拠上の違法は認められない。 第1 事案の概要:被告人が警察署において拷問を受けた旨を主張し、証拠の違法性を争った事案である。しかし、原判決を確認すると、警察段階での被告人の供述は一切証拠として…
事件番号: 昭和27(あ)3790 / 裁判年月日: 昭和28年10月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】自白のみを証拠として有罪とすることは憲法38条3項に抵触するが、被害者の盗難届等の自白以外の証拠が併存する場合には補強証拠が存在するものとして、同条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人AおよびBは窃盗等の罪に問われ、第一審において有罪判決を受けた。被告人らは自白をしていたが、弁護人は当該判決が…
事件番号: 昭和25(あ)1381 / 裁判年月日: 昭和25年9月30日 / 結論: 棄却
甲検察庁が乙検察庁に対して為した前科調回答の電信訳文は、刑訴法第三二三条三号に該当する書面と認むべきである。