判旨
刑の執行を猶予するか否かは、事実審の広範な裁量に委ねられており、有利な情状が存する場合であっても猶予を付さなかったことをもって直ちに違法とすることはできない。
問題の所在(論点)
刑法25条に基づく刑の執行猶予の言い渡しが、事実審の裁量に委ねられているか、および、有利な情状が存在する場合に執行猶予を付さないことが違法となるか。
規範
刑の執行猶予を言い渡すか否かは、事実審理を行う裁判所の裁量権に属する。したがって、被告人に有利な諸事情(犯行の動機、犯行後の心境や行動、家庭状況等)が存在する場合であっても、裁判所がその裁量により執行猶予を付さない判断をしたのであれば、その判断は適法である。
重要事実
被告人が犯した具体的な犯罪事実は判決文からは不明である。弁護人は、本件犯行の動機、犯行後の被告人の心境や行動、および被告人の家庭の状況等を理由に、刑の執行猶予を求めて上告した事案である。
あてはめ
被告人側は、犯行の動機や犯行後の反省、家庭環境といった執行猶予を認めるべき具体的な事情を主張している。しかし、これらの事情を考慮したとしても、刑の執行を猶予するか否かは事実審の合理的な裁量に属する事由である。原審がこれらの諸事情を考慮した上でなお執行猶予を言い渡さなかったとしても、裁量権の逸脱や違法があるとは認められない。
結論
執行猶予を付さなかった原判決に違法はなく、上告を棄却する。
実務上の射程
刑事裁判における量刑および執行猶予の判断が、事実審の専権(裁量事項)であることを示す基本的判例である。司法試験の答案においては、量刑不当を理由とする控訴・上告の限界や、裁判所の裁量権の範囲を論じる際の根拠として用いることができる。
事件番号: 昭和25(れ)1551 / 裁判年月日: 昭和26年2月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の上告趣旨が単なる量刑不当の主張に帰する場合、それは刑訴応急措置法13条2項に基づき、適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が上告を申し立てたが、その上告趣旨の内容は、一審・二審の判決における刑の量定が不当であるという主張に尽きるものであった。 第2 問題の所在(論点):被…