刑訴法第三六〇條第二項にいわゆる「刑ノ減兔ノ原由タル事實」とは刑の法律上減輕又は兔除を爲すべき事由を指すのであつて、刑の執行を猶豫すべき情状を含まない。
刑の執行を猶豫すべき情状と刑訴法第三六〇條第二項にいわゆる「刑ノ減兔ノ原由タル事實」
刑訴法360條2項,刑訴法410條20號
判旨
刑の執行を猶予すべき情状は、旧刑事訴訟法360条2項(現335条2項)にいう「刑の減免の原由たる事実」には当たらない。したがって、執行猶予の成否に関する判断について、判決において理由を示す必要はない。
問題の所在(論点)
旧刑事訴訟法360条2項(現行刑事訴訟法335条2項)に規定される、判決に理由を付すべき「刑の減免の原由たる事実」に、刑の執行を猶予すべき情状が含まれるか否か。
規範
「刑の減免の原由たる事実」とは、法律上の刑の減軽または免除をすべき事由を指し、裁判所の自由裁量に委ねられている刑の執行猶予の情状はこれに含まれない。法律上の減免事由がある場合には必ず適用されなければならないのに対し、執行猶予は諸般の事情を勘案して裁量により判断されるという性質の相違があるためである。
重要事実
被告人の弁護人が、刑の執行を猶予すべき情状が認められるにもかかわらず、原審がこれについて判断を示さなかったことが旧刑事訴訟法360条2項の規定に違反するとして上告した事案である。
あてはめ
執行猶予を言い渡すべき事由は、法律上の特定の事由があれば必ず減免されるべき事実とは異なり、裁判所が個々の事件につき諸般の事情を勘案して自由に裁量し得るものである。もし執行猶予の情状が減免事由と同等に扱われるとすれば、量刑に影響を及ぼすあらゆる事実について詳細な理由説明が必要となり、法律があえて特定の減免事由のみを区分して規定した趣旨が失われることになる。
結論
刑の執行猶予をすべき情状は「刑の減免の原由たる事実」に含まれないため、判決においてこれに対する判断を特段示さなくても違法ではない。
実務上の射程
現行刑訴法335条2項の解釈として確立しており、答案上は法律上の減免事由(自首、過剰防衛、中止犯等)と、裁判上の裁量減軽や執行猶予を峻別する根拠として用いる。ただし、実務上は執行猶予の適否について情状として言及されるのが通常であるが、理由不備を突く論理としては本判例が射程となる。
事件番号: 昭和26(れ)235 / 裁判年月日: 昭和26年6月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】事実誤認及び量刑不当を理由とする上告については、刑訴応急措置法13条2項に基づき、適法な上告理由には当たらないものと判断した。 第1 事案の概要:被告人側は、原判決における事実認定に誤りがあり、かつ言い渡された刑の量定が不当であるとして上告を申し立てた。なお、事案の具体的な罪状等の詳細は本判決文か…