判旨
供述証拠の認定において、証拠の一部のみを抽出して判断することは許されず、供述の全体を精査してその趣旨を判断すべきである。
問題の所在(論点)
供述証拠の評価において、供述の一部のみを抽出して認定の基礎とすることの是非、および供述全体の趣旨を考慮した認定の正当性が問題となった。
規範
証拠の評価に当たっては、供述の一部のみを抽出して解釈するのではなく、供述記載の全体を精査し、その真実の趣旨を合理的に確定しなければならない。
重要事実
弁護人は、原審公判および第一審第一回公判における被告人の供述のうち、被告人に利益な一部分のみを抽出して、原判決の事実認定に誤りがあると主張して上告した。これに対し、裁判所は当該供述記載の全体を精査した。
あてはめ
記録上の供述記載を精査すると、弁護人が主張する抽出部分は、供述の全体像に照らせば結局は原判決が認定した内容と同趣旨の供述であると認められる。したがって、一部を抽出して立論する弁護人の主張は、供述の真実の趣旨を正しく捉えたものとはいえない。
結論
被告人の供述全体を精査した結果、原判決の認定に誤りはなく、上告を棄却する。
実務上の射程
証拠裁判主義(刑訴法317条)における自由心証主義の具体化として、供述の断片的な解釈を排し、文脈全体の把握を求める実務上の基本的な姿勢を示すものである。
事件番号: 昭和26(れ)1167 / 裁判年月日: 昭和27年5月22日 / 結論: 棄却
控訴申立人に不服のないことが明らかな事項であつても、控訴裁判所が重ねて被告人を尋問し、証拠調をした場合には、旧刑訴法事件の控訴審及び上告審における審判の特例に関する規則第六条によるべきではない。