判旨
起訴された事実の一部について有罪と認定された事実と連続犯(包括一罪)の関係にある事実が含まれる場合、主文で別途無罪を言い渡す必要はない。
問題の所在(論点)
起訴された事実の一部について、有罪部分と一罪(連続犯)の関係にあると認められる場合に、裁判所は主文で明示的に無罪を言い渡すべきか。
規範
起訴された事実の中に、裁判所が有罪と認定した事実と連続犯(旧刑法下の概念であり、現行法上の包括一罪等に相当)の関係にある事実が含まれている場合、その部分は有罪判決の効力に包含されるため、主文において個別に無罪の言渡しを要しない。
重要事実
被告人らは特定の犯罪事実について起訴されたが、弁護人は一部の事実について訴訟法違反や事実誤認等を主張した。原判決は、有罪と認定した事実と連続犯の関係にある事実についても起訴の範囲に含まれると判断したが、主文においてそれらの一部事実に対する無罪の言渡しを行わなかったため、その適法性が争点となった。
あてはめ
原判決の説示は簡略ではあるが、有罪と認定された事実と連続犯の関係にある事実は、起訴状の範囲内に含まれていると認められる。このように、有罪部分と一体不可分な関係にある事実については、有罪の主文によってそのすべての公訴事実に対する判断が示されたものと解される。したがって、特段主文で無罪を掲げずとも、判決の手続きに違法はないと判断される。
結論
有罪部分と連続犯(包括一罪)の関係にある事実については、主文で無罪を言い渡す必要はなく、上告を棄却する。
実務上の射程
包括一罪の一部について有罪、他の一部について犯罪の証明がない場合、主文では「有罪」とのみ表示し、理由中で「不成立」部分に触れれば足りるという実務慣行を支える判断である。公訴事実が一個の刑罰権に対応する場合の主文の構成において重要となる。
事件番号: 昭和26(れ)1167 / 裁判年月日: 昭和27年5月22日 / 結論: 棄却
控訴申立人に不服のないことが明らかな事項であつても、控訴裁判所が重ねて被告人を尋問し、証拠調をした場合には、旧刑訴法事件の控訴審及び上告審における審判の特例に関する規則第六条によるべきではない。