判旨
刑事訴訟法における上告理由として、原判決の事実誤認を主張することは、適法な上告理由に当たらない。
問題の所在(論点)
原判決における事実誤認の主張は、刑事訴訟法が定める適法な上告理由となるか。
規範
上告審は、原則として下級審の判断の適法性を審査する法律審であり、原判決の事実認定に誤りがある(事実誤認)という主張は、法律上の上告理由として認められない。
重要事実
被告人が原判決に事実誤認があることを理由として上告を申し立てた事案。
あてはめ
被告人の上告趣意は、専ら原判決の事実誤認を主張するものである。しかし、刑事訴訟法上の適法な上告理由は、憲法違反や判例違反等に限定されている。したがって、単なる事実誤認の主張は、上告の適法な理由としての要件を欠いているといえる。
結論
本件上告は適法な理由がないため、棄却される。
実務上の射程
刑事訴訟における上告趣意書の作成において、単なる事実誤認は形式的な上告理由とならないことを示す。実務上は「著しい事実誤認により判決に影響を及ぼすべきこと」が明らかであることを疎明し、刑訴法411条による職権破棄を促す構成を検討する必要がある。
事件番号: 昭和26(れ)474 / 裁判年月日: 昭和26年7月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が判例違反を主張するものであっても、その実質が証拠の価値判断や事実認定の非難に帰する場合には、適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:弁護人が判例違反を主張して上告を申し立てたが、その主張内容を検討したところ、判例違反の事実は認められず、実質的には下級審における証拠の評価や事実認…