判旨
上告審において事実誤認を主張することは適法な上告理由とはならず、また原判決の事実認定に証拠法則の違反がない限り、上告は棄却される。
問題の所在(論点)
事実誤認の主張が適法な上告理由となるか、および原判決の事実認定に証拠法則違反が認められるか。
規範
上告審は法律審であり、原判決の認定した事実に係る事実誤認の主張は、適法な上告理由とはならない。また、証拠に基づく事実認定の合理性は、原審が採用しなかった証拠との対比ではなく、挙示された証拠によって論理的に導かれるか否か(証拠法則違反の有無)によって判断される。
重要事実
被告人が原判決の事実認定に誤りがあるとして上告を申し立てた事案。弁護人は、原審の証拠採用および事実認定に法則違背がある旨を主張し、原審が採用しなかった証拠を根拠に事実認定を非難した。
あてはめ
被告人本人の上告趣意は事実誤認を主張するものであり、刑事訴訟法の規定上、適法な上告理由に当たらない。弁護人の主張についても、原判決の判示事実は挙示された証拠によって十分に認定可能であり、認定過程に証拠法則違反は認められない。原審が採用しなかった証拠を基に事実認定を争うことは、実質的に事実誤認の主張に帰結するため、採用し得ない。
結論
本件上告は理由がないため、棄却される。
実務上の射程
上告趣意書作成において、単なる事実誤認の主張は排斥されることを確認する実務上の基本指針。事実認定を争う場合は、憲法違反や判例違反、あるいは事実誤認が著しく正義に反する場合(刑事訴訟法411条)などの例外規定、または証拠法則違反という法律上の問題に構成し直す必要がある。
事件番号: 昭和26(あ)2820 / 裁判年月日: 昭和27年3月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法違反を主張してもその実質が単なる刑事訴訟法違反の主張に過ぎない場合や、事実誤認の主張は、刑事訴訟法405条の上告理由に該当しない。また、職権による破棄事由(同法411条)が認められない限り、上告を棄却すべきである。 第1 事案の概要:上告人は、原判決に対し、憲法違反および事実誤認を理由として上…