判旨
刑事訴訟法の一部を改正する法律の施行に伴う刑事裁判の特別措置に関する法律(刑訴応急措置法)13条2項の下では、単なる事実誤認の主張は上告適法の理由にならない。
問題の所在(論点)
弁護人が主張する「事実誤認」が、刑訴応急措置法13条2項において、適法な上告理由として認められるか。
規範
刑訴応急措置法13条2項によれば、上告審において事実誤認のみを主張することは適法な上告理由として認められない。上告は、憲法違反、憲法解釈の誤り、または最高裁判所の判例と相反する判断がある場合に限定される(旧刑事訴訟法446条等参照)。
重要事実
上告人(被告人)側の弁護人は、原判決に対して上告を提起したが、その上告趣意の内容は原審の事実認定に誤りがあるとする「事実誤認」の主張に帰するものであった。その他の適法な上告理由(憲法違反等)については具体的に示されていなかった。
あてはめ
本件における上告趣意は、精査した結果、結局のところ原判決が認定した事実関係の当否を争う「事実誤認」の主張に尽きる。刑訴応急措置法13条2項は、迅速かつ適正な裁判を実現するため、上告理由を厳格に制限している。したがって、事実誤認を主張する本件の上告は、同法が定める適法な上告理由を備えていないと判断される。
結論
本件上告は適法な理由に基づかないため、棄却される。
実務上の射程
刑事訴訟法における上告理由の制限に関する初期の判例である。現行刑事訴訟法405条においても、事実誤認は原則として適法な上告理由とはならず、本判決の趣旨は現行法下での実務(法405条各号、411条等の運用)においても、上告審の事後審的性格を示す基本的事項として位置づけられる。
事件番号: 昭和26(れ)615 / 裁判年月日: 昭和26年6月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人が主張する上告趣意が事実誤認の主張にすぎない場合、刑訴応急措置法13条2項(当時)に基づき、適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が上告を申し立てたが、その趣意書の内容が事実誤認を主張するものであった事案。なお、具体的な犯行事実等の詳細は判決文からは不明。 第2 問題の所在…