判旨
実質的に原審の事実認定を非難するに過ぎない主張は、憲法違反を名目としていても適法な上告理由には当たらない。原審が適法に認定した事実を前提とする限り、上告は棄却されるべきである。
問題の所在(論点)
上告理由において憲法違反が主張されている場合であっても、その実質が事実認定の非難に止まる場合、適法な上告理由として認められるか。
規範
上告理由が憲法違反を主張するものであっても、その実質が原審の行った事実認定の不当性を非難するに過ぎない場合には、適法な上告理由とは認められない。
重要事実
被告人は原審の判決に対し、憲法違反を理由として上告を申し立てた。しかし、その主張の具体的内容は、原審が証拠に基づいて適法に認定した事実関係を争うものであった。
あてはめ
本件の上告理由は、言葉のうえでは憲法違反を掲げている。しかし、その実質は原審が適法な証拠調べを経て確定した事実認定を不服とするものに過ぎない。したがって、上告適法の理由としての実質を欠いているといえる。
結論
本件上告は、適法な上告理由を欠くため棄却される。
実務上の射程
訴訟法上の上告受理の要件に関する判断であり、形式的な憲法違反の主張があっても、実質的に事実誤認を争うものは上告理由にならないという実務上の峻別を示すものである。
事件番号: 昭和25(あ)959 / 裁判年月日: 昭和26年3月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法405条の上告理由に当たらない不当な主張は、最高裁判所によって棄却される。記録を精査しても、職権による破棄を認める同法411条の適用事由は認められない。 第1 事案の概要:被告人側は、原判決が刑事訴訟法405条所定の上告理由に該当し、また大審院判例とも相反するとして上告を申し立てた。しか…