A提出の強盗未遂被害届中の記載は、それが所論のように同人が犯行当夜直接目撃した事実をしるしたものでなくその妻から伝聞した事実を記載したものであつても旧刑訴法の下においてはもとよりその証拠能力を失うものではない。
妻から伝聞した事実を記録した被害届の証拠能力
旧刑訴法337条
判旨
旧刑事訴訟法下において、被害届に記載された事実が被害者自身の直接目撃したものではなく、他人から伝聞した事実であっても、直ちにその証拠能力が否定されるものではない。
問題の所在(論点)
被害者が直接目撃した事実ではなく、他人から伝聞した事実を記載した被害届について、証拠能力が認められるか。
規範
証拠能力の有無については、それが伝聞事実を記載した書面であっても、旧刑事訴訟法の規定に反しない限り、当然には否定されない。
重要事実
被告人が強盗未遂の目的で金品を物色中、住人の妻に発見された。被害者Aは、自ら直接目撃したわけではなく妻から伝聞した内容に基づき、強盗未遂被害届を作成し提出した。原判決はこの被害届を証拠として事実認定を行った。
あてはめ
本件の被害届は、Aが妻から伝聞した事実を記載したものである。しかし、旧刑事訴訟法の体系下においては、このような伝聞事実の記載が含まれているからといって、その一事をもって証拠能力を失うと解すべき法的根拠はない。したがって、原判決が当該被害届を事実認定の証拠として用いたことに証拠理由不備の違法は認められない。
結論
本件被害届には証拠能力が認められ、上告は棄却される。
実務上の射程
本判決は旧刑事訴訟法下の判断であり、現行刑事訴訟法320条1項(伝聞排除法則)の下では、被害届は原則として証拠能力が否定される点に注意が必要である。実務上は、現行法における伝聞例外の要件(321条等)を検討する際の比較対象として理解すべきである。
事件番号: 昭和25(あ)1792 / 裁判年月日: 昭和26年2月13日 / 結論: 棄却
第一審第一回公判において被告人及び弁護人は検察官の提出した所論診断書を証拠とすることに同意し、証拠調に意義なき旨を述べているのみならず、第四回公判期日において手続更新に際しても異議を述べていないことは明らかである。従つて右診断書は刑訴第三二六条により証拠能力がないとはいい得ない。
事件番号: 昭和26(れ)755 / 裁判年月日: 昭和26年7月12日 / 結論: 棄却
告訴ありとするには、被害者から、司法警察員又は検察官に対し犯罪事実につき犯人の処罰を求める旨の意思表示あるを以て足りるものであり、そして、検察官のAに対する聴取書中の供述記載によれば、同女は検察官に対しかかる処罰を求める意思表示をしたことを認めることができる。されば、判示第三の事実につき告訴の要件を充している。