判旨
強盗致死罪等における暴行の程度について、被害者の反抗を抑圧するに足りるものであることを要するとし、また鑑定人の専門性や書面の訂正のみを理由に証拠能力が否定されることはないとした。
問題の所在(論点)
1. 被告人が加えた暴行が強盗罪の構成要件としての「暴行」に該当するか。2. 専門外の医師による鑑定書や日付の訂正がある鑑定書に証拠能力が認められるか。
規範
1. 強盗罪における暴行は、相手方の反抗を抑圧するに足りる程度の強度のもの(最狭義の暴行)であることを要する。2. 鑑定書等の証拠能力について、作成者が当該分野の専門医でないことや、作成日付に訂正があることのみをもって直ちに証拠能力が否定されるものではない。
重要事実
被告人は被害者Aに対し暴行を加えた。この暴行の程度が反抗抑圧に至るものであったかが争点となった。また、証拠として提出された内科医B作成の鑑定書について、Bが裁判上の重大な鑑定経験のない内科専門医であること、および鑑定書の作成日付が訂正されていたことから、弁護人がその証拠能力を争った。
あてはめ
1. 被告人が被害者Aに対して加えた暴行は、証拠に照らせば同人の反抗を抑圧するに足りる程度のものであったことは明白であるといえる。2. 鑑定人Bが内科専門であり鑑定経験が乏しいとしても、その一点で鑑定書の証拠力が欠けるとは解されない。また、日付の訂正があるからといって作成日付が不明とはいえず、これを証拠に採用することに違法はない。
結論
被告人の暴行は反抗を抑圧するに足りるものであり、また当該鑑定書を証拠として採用した原判決に違法はなく、上告は棄却される。
実務上の射程
強盗罪の実行行為たる「暴行」の定義を確認する際に引用される。また、刑事訴訟法上の鑑定の証拠能力・証拠価値に関して、形式的な不備や専門性の程度の違いが直ちに証拠排除に繋がらないことを示す実務上の先例となる。
事件番号: 昭和25(れ)1188 / 裁判年月日: 昭和25年11月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】量刑の不均衡を憲法36条の「残虐な刑罰」に当たるとする主張は、独自の法的見解に基づいた単なる量刑不当の主張に過ぎず、適法な上告理由にならない。 第1 事案の概要:上告人は、原判決の量刑が他の類似事案と比較して不均衡であり、それが憲法36条にいう「残虐な刑罰」に当たると主張して上告を申し立てた。なお…