食糧管理法にいわゆる主要食糧の輸送とは主要食糧の所在を一定の場所より他の場所に移動する一切の所為を指し、その移動する距離の長短を問はない趣旨と解するのを相当とするから、所論のように、たとい、判示A製粉所と被告人Bの判示住居とは同一大字内で接近しているとしても、被告人等の判示所為は同法令にいわゆる主要食糧の輸送に該当するものといわなければならない。
食糧管理法にいわゆる主要食糧の輸送の意義
食糧管理法28条2号
判旨
食糧管理法令における主要食糧の「輸送」とは、主要食糧の所在を一定の場所から他の場所に移動させる一切の行為を指し、その移動距離の長短を問わない。
問題の所在(論点)
食糧管理法令上の「輸送」の定義および、同一の地域内かつ極めて短距離の移動が当該「輸送」に含まれるか。条文上の「輸送」概念の射程が問題となった。
規範
食糧管理法令にいう「主要食糧の輸送」とは、主要食糧の所在を一定の場所から他の場所に移動する一切の所為を指し、その移動する距離の長短を問わないと解するのが相当である。
重要事実
被告人らは、判示の主要食糧をA製粉所から被告人Bの住居へと移動させた。当該製粉所と住居は同一の大字(おおあざ)内に位置し、互いに極めて接近した距離にあったため、被告人側はこれが同法令にいう「輸送」には該当しないと主張して上告した。
あてはめ
本件において、被告人らが主要食糧を製粉所から住居へと移動させた行為は、その所在を一定の場所から他へと移す行為そのものである。たとえ移動先が同一の大字内で接近した場所であったとしても、移動の事実がある以上、移動距離の長短によって「輸送」該当性が否定される理由はない。したがって、被告人らの所為は同法令の「輸送」に該当すると評価される。
結論
被告人らの行為は食糧管理法令にいう主要食糧の輸送に該当し、有罪とした原判決に法令適用の誤りはない。本件各上告を棄却する。
実務上の射程
行政取締法規における「輸送」概念を広範に捉え、距離の長短にかかわらず物理的な場所の移動があれば足りるとする解釈指針を示したものである。現代の行政刑法や経済法令においても、特定の行為態様が「輸送」や「運搬」に該当するか否かを判断する際、距離の近接性を理由とした除外を認めない論拠として援用し得る。
事件番号: 昭和27(あ)218 / 裁判年月日: 昭和27年10月30日 / 結論: 棄却
食糧管理法施行規則二九条(改正前のもの)にいわゆる主要食糧の輸送とは取引の通念に従い主要食糧の所在を移動すると目される所為を指称するのであり、もとより一家内において「物置から台所に運ぶ」が如き所為を含まないこと勿論であるが、所論のごとく「他の都府県に移出」するのでなければ、こゝにいわゆる輸送に該当しないということはでき…
事件番号: 昭和25(れ)826 / 裁判年月日: 昭和25年10月17日 / 結論: 棄却
一 原判決摘示第一の事実は、昭和二一年一一月一〇日頃及び昭和二二年一一月二五日頃の行為であり、同第二の事実は昭和二二年四月頃から同年一一月一一日頃までに亘る行為であるから、そのいずれに対しても昭和二二年一二月三〇日の改正前の食糧管理法施行規則を適用すべきものである。しかるに原判決はこれに対する適条にあたつて、それぞれ単…