食糧管理法施行規則第二九條列舉の事由の存しない限りたとい、主食の所有者が自家消費のためにこれを輸送する場合であつても犯罪の成立を妨げるものではない。
主食の所有者が自家消費のためにこれを輸送する場合と食糧管理法施行規則第二九條
食糧管理法施行規則29條
判旨
食糧管理法による主食輸送の禁止は、自家消費目的であっても、同法施行規則に規定された除外事由に該当しない限り犯罪を構成し、また実刑判決により家族が生活困難に陥るとしても憲法25条には違反しない。
問題の所在(論点)
1. 刑罰の執行により家族の生活が困窮する場合、当該判決は憲法25条に違反するか。 2. 食糧管理法施行規則に列挙された除外事由に該当しない場合、自家消費目的の輸送であっても犯罪が成立するか。
規範
1. 実刑判決の結果、被告人の家族が生活困難に陥るとしても、その判決が直ちに憲法25条に違反することはない。 2. 食糧管理法が主食の輸送を禁じている趣旨は、食糧の需給調整の妨害や配給統制の混乱を防止する点にある。したがって、施行規則に規定された除外事由がない限り、自家消費目的の輸送であっても同法違反罪が成立する。
重要事実
被告人が主食(米等)を輸送した行為について、食糧管理法違反で起訴された。被告人は、当該輸送が自家消費を目的とするものであったこと、および、自身が実刑に処されることで残された家族が生活困難に陥り、憲法25条が保障する生存権を侵害することを理由として上告した。
あてはめ
1. 憲法25条の点について、先行する大法廷判例に基づき、刑罰に伴う附随的な不利益(家族の生活困窮)は同条の違反を構成しない。 2. 主食輸送の禁止について、食糧管理法の目的は需給調整と配給統制の維持にある。被告人の行為は、施行規則29条に列挙された非罰的な事由に該当しないため、たとえ所有者が自家消費のために輸送したという主観的意図があっても、法の規制対象から除外されるものではない。
結論
被告人の行為は食糧管理法違反を構成し、また実刑判決が憲法25条に違反するとの主張も理由がないため、上告を棄却する。
実務上の射程
行政上の取締法規における「目的」の解釈と憲法25条の射程に関する判断。特に、個人的な事情や自家消費目的であっても、法が定める画一的な除外事由に該当しない限り、統制法規の適用を免れないことを示した点に実務上の意義がある。
事件番号: 昭和23(れ)205 / 裁判年月日: 昭和23年9月29日 / 結論: 棄却
憲法第二五條第一項は、すべての國民が健康で文化的な最低限度の生活を營み得るよう國政を運營すべきことを國家の責務として宣言したものである。すなわち國民は、國民一般に對して概括的にかかる責務を負擔しこれを國政上の任務としたのであるけれども、個々の國民に對して具體的にかかる義務を有するものではない。されば、上告人が、右憲法の…