食糧管理法施行規則(昭和二二年八月一二日農林省令第六八号による改正前のもの)第二三条の七にいわゆる「輸送」とは、輸送機関による「移動」のみでなく一切の「移動」をいう、
食糧管理法施行規則(昭和二二年八月一二日農林省令第六八号による改正前のもの)第二三条の七の意義
食糧管理法施行規則(昭和22年8月12日農林省令68号による改正前のもの)23条の7
判旨
食糧管理法施行規則における「輸送」とは、輸送機関を利用した大掛かりなものに限られず、同規則所定の除外事由に該当しない一切の移動を指す。食糧管理の強化と闇売買の防止という目的から、手段を問わず正規の経路に依らない移動を禁止すべきであると判示した。
問題の所在(論点)
食糧管理法施行規則における「輸送」の意義について、輸送機関を利用した行為に限定されるか、あるいはそれ以外の移動形態も含むかが問題となった。
規範
法規範の解釈にあたっては、その制定の趣旨、すなわち食糧の需給事情に鑑みた食糧管理強化の一環として、正規の経路に依らない移動を原則禁止し、配給の混乱防止と供出量の確保を期するという目的に照らすべきである。したがって、施行規則上の「輸送」は、字面上は輸送機関によるものを想定させるとしても、目的達成のために必要な範囲において、除外事由に該当しない一切の主食の「移動」を含むものと解される。
重要事実
被告人は主要食糧を移動させた行為につき、食糧管理法施行規則違反で問われた。これに対し被告人側は、当該行為は輸送機関を用いた「輸送」には該当せず、施行令が制限する「移動」よりも狭い概念である同規則の「輸送」には当たらないと主張して上告した。
あてはめ
食糧管理法の目的は、闇売買や横流しによる配給の混乱を防止することにある。この目的達成のためには、大掛かりな輸送機関による行為のみならず、除外事由(政府等からの購入、旅行者による制限内での携行等)に当たらないあらゆる移動を制限する必要がある。本件における被告人の行為も、輸送機関を用いない移動であったとしても、規則が列挙する除外事由に該当しない以上、禁じられるべき「輸送」に該当すると評価される。
結論
被告人の行為は、輸送機関の利用の有無にかかわらず食糧管理法施行規則にいう「輸送」に該当し、同規則違反を構成する。
実務上の射程
行政上の規制目的を達成するために、法規の文言をその趣旨・目的に引き付けて広範に解釈する手法を示す。罪刑法定主義の観点からは慎重な検討を要するが、本判例は統制経済下における合目的的解釈の典型例として位置付けられる。
事件番号: 昭和27(あ)218 / 裁判年月日: 昭和27年10月30日 / 結論: 棄却
食糧管理法施行規則二九条(改正前のもの)にいわゆる主要食糧の輸送とは取引の通念に従い主要食糧の所在を移動すると目される所為を指称するのであり、もとより一家内において「物置から台所に運ぶ」が如き所為を含まないこと勿論であるが、所論のごとく「他の都府県に移出」するのでなければ、こゝにいわゆる輸送に該当しないということはでき…
事件番号: 昭和25(れ)826 / 裁判年月日: 昭和25年10月17日 / 結論: 棄却
一 原判決摘示第一の事実は、昭和二一年一一月一〇日頃及び昭和二二年一一月二五日頃の行為であり、同第二の事実は昭和二二年四月頃から同年一一月一一日頃までに亘る行為であるから、そのいずれに対しても昭和二二年一二月三〇日の改正前の食糧管理法施行規則を適用すべきものである。しかるに原判決はこれに対する適条にあたつて、それぞれ単…