判旨
裁判所が開廷後15日以上経過した後に公判を開く場合であっても、裁判所が必要と認めた場合を除き公判手続の更新は不要であり、また、被告人の出頭可能性の判断において必ずしも専門医の診断を要するものではない。
問題の所在(論点)
1. 15日以上の開廷間隔がある場合に、常に公判手続の更新(現行刑訴法315条参照)が必要か。 2. 被告人が病気を理由に出頭しない場合、裁判所が専門医の診断なしに出頭の可否を判断し、公判手続を進行させることは許されるか。
規範
1. 公判手続の更新について:開廷後15日以上の期間が経過した場合であっても、裁判所がその必要があると認めた場合に限り手続を更新すれば足りる。 2. 被告人の出頭可能性の判断について:専門医の診断がなければ判断できないものではなく、日常生活の状況等に基づき判断することが可能である。
重要事実
被告人の公判において、第4回公判と第5回公判の間に15日以上の間隔があったが、原審は公判手続を更新しなかった。また、被告人は肺浸潤を患っていたが、司法警察官が日常生活を観察した復命書に基づき、原審は被告人が出頭可能であり、不出頭に正当な理由がないと判断して、被告人不在のまま弁論を終結し判決を言い渡した。
あてはめ
1. 更新手続について、前回の開廷が単に次回期日を指定するだけのものでない場合でも、裁判所が更新の必要がないと認めた以上、手続をとらないことに違法はない。 2. 出頭の可否について、司法警察官が作成した被告人の起臥寝食の状況等に関する記録に基づき、被告人が出頭可能であると判断した原審の認定は適法である。正当な理由のない不出頭である以上、被告人の陳述を聴かずに弁論を終結したことに違法は存しない。
結論
原判決に違法はなく、上告を棄却する。公判手続の更新をせず、また専門医の診断なく出頭可能と判断して下された判決は有効である。
実務上の射程
現行刑訴法315条(更新)の運用や、被告人の出頭確保・病気欠席の正当性判断における裁判所の裁量を認める際の論拠として活用できる。特に実務上、診断書の不備や事実上の不出頭に対する制裁的進行の事案で、判断の合理性を補強する材料となる。
事件番号: 昭和25(れ)2144 / 裁判年月日: 昭和25年11月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判官の更迭があった場合でも、最高裁判所刑事訴訟規則施行規則3条3号(当時)の規定に基づき、必ずしも公判手続を更新する必要はなく、同規定は憲法に違反しない。 第1 事案の概要:被告人の控訴審(原審)において、第3回公判期日より前に裁判官の更迭が生じた。原審は、当時の最高裁判所刑事訴訟規則施行規則3…
事件番号: 昭和24(れ)2293 / 裁判年月日: 昭和25年11月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判所が公判手続更新の必要がないと認めた場合には、公判期日の間隔が15日以上開いたとしても、刑事訴訟規則施行規則に基づき公判手続を更新しないことは適法である。 第1 事案の概要:被告人A、Bに係る原審(控訴審)において、昭和24年3月12日の公判期日および同年4月27日の公判期日が、それぞれ前回の…