判旨
法人税の確定申告書において、事業年度の算定等に誤りがあったとしても、直ちに当該申告書の提出がなかったものとみなすことはできない。
問題の所在(論点)
確定申告書の内容に事業年度の算定ミス等の誤りがある場合、形式的に提出された申告書を「申告書の提出がなかったもの」と法的に同視することができるか(無効な申告となるか)。
規範
確定申告としての法的効力は、申告内容に実体的な誤り(事業年度の算定ミス等)が含まれている場合であっても、特段の事情がない限り、申告書提出の事実そのものが否定されるものではない。
重要事実
被告人会社は法人税の確定申告書を提出したが、その内容において事業年度の算定に誤りがあった。この誤りを理由として、検察側あるいは下級審において、当該申告書の提出がなされなかったのと同視すべきではないかが争点となった。
あてはめ
本件において、被告人会社が提出した法人税確定申告書には、事業年度の算定方法等に所論のような間違いが存在していた。しかし、申告内容に過誤があることと、申告という行為自体が行われたか否かは別異の事象である。本件の誤りは、申告書の提出という事実を排斥し、未提出と同視させるほどの重大な瑕疵とはいえない。
結論
事業年度の算定に間違いがあっても、申告書の提出がなかったものと同視することはできない。したがって、申告書の提出を前提とした原判決に判例違反はなく、上告は棄却される。
実務上の射程
申告の有効性に関する形式的側面を重視する判断であり、内容に誤りがあっても「無申告」とは扱われないことを示した。もっとも、本判決は事案が簡略であるため、いかなる程度の誤りまでが「提出」として認められるかという境界線については、後の更正・決定手続や重加算税の議論に委ねられる。答案上は、形式的具備がある限り無申告加算税等の対象外となる根拠として引用し得る。
事件番号: 昭和40(あ)1730 / 裁判年月日: 昭和41年9月7日 / 結論: 棄却
一 法人税法第九条二項前段、第四二条によつて、法人の所得の計算上損金に算入されるべき利子税額に相当する法人税をいずれの事業年度の損人に算入すべきは、同法の解釈上当然定まつていると解すべきであり、この解釈は、行政庁の通達によつて決定もしくは変更されるものではないから、憲法第八四条違反の主張は、その前提を欠き上告適法の理由…