一 法人税法第九条二項前段、第四二条によつて、法人の所得の計算上損金に算入されるべき利子税額に相当する法人税をいずれの事業年度の損人に算入すべきは、同法の解釈上当然定まつていると解すべきであり、この解釈は、行政庁の通達によつて決定もしくは変更されるものではないから、憲法第八四条違反の主張は、その前提を欠き上告適法の理由とならない。 二 右税額はその損金引当の帳簿上の処理がなされていない限り、申告(申告がない場合および申告が適当でない場合は、税務署長の更正、決定もしくは修正申告)によつて本税額の確定した事業年度の損金に算入すべきである。
一 法人税法(昭和四〇年法律第三四号による全文改正前のものの昭和三七年法律第六七号による一部改正前のもの。以下同じ)第九条二項前段、第四二条によつて損金に算入すべき利子税額に相当する法人税の損金算入時期に関する国税庁の通達を変更したことと憲法第八四条違反の成否 二 右税額の損金算入の時期
憲法84条,法人税法(昭和40年法律34号による全文改正前のものの昭和37年法律67号による一部改正前のもの)9条2項,法人税法(昭和40年法律34号による全文改正前のものの昭和37年法律67号による一部改正前のもの)42条
判旨
法人の所得計算上損金に算入すべき利子税額は、帳簿上の損金引当処理がない限り、申告等により本税額が確定した日の属する事業年度の損金に算入すべきである。また、損金算入時期の決定は法律の解釈により定まるものであり、行政通達の内容によって左右されるものではない。
問題の所在(論点)
法人税法上の損金算入時期の決定方法が行政通達によって左右されるか、および、帳簿上の処理がない場合の利子税額の損金算入時期(いずれの事業年度に帰属させるべきか)が問題となった。
規範
法人の所得計算において損金に算入されるべき利子税額等の経費を、いずれの事業年度の損金に計上すべきかは、法人税法の解釈によって一義的に決定される。具体的には、帳簿上で損金引当の処理がなされていない場合には、申告、更正、決定または修正申告によって本税額が確定した日を含む事業年度の損金として計上すべきである。
重要事実
被告人側は、法人税法上の所得計算において、損金算入されるべき利子税額の帰属年度について、国税庁長官通達の内容が変更されたことを理由に、租税法律主義(憲法84条)に違反すると主張した。具体的には、本件の脱税額(逋脱額)の算定にあたり、利子税額を損金として控除しなかった一審および原審の判断の妥当性が争点となった。
あてはめ
最高裁は、損金算入時期の問題は法律の解釈上当然に定まるものであり、通達によって決定・変更されるものではないため、租税法律主義違反には当たらないとした。その上で、損金引当の帳簿処理が行われていない本件のような状況においては、本税額が確定した日(申告・更正等があった日)の属する事業年度に損金算入すべきであるとの基準を適用し、当該利子税額を本件逋脱額から控除しなかった原審の判断を適法と認めた。
結論
本件利子税額を逋脱額から控除しなかった原判決に違法はなく、上告を棄却する。
実務上の射程
損金算入時期に関する「債務確定主義」の具体的運用を示す判例である。特に、行政通達が法解釈を拘束しないこと、および会計処理(帳簿処理)がない場合の損金算入時期は「税額の確定日」を基準とすることを明示しており、所得金額の計算や脱税額の算定における基準として機能する。
事件番号: 昭和25(あ)931 / 裁判年月日: 昭和26年3月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】法人税の確定申告書において、事業年度の算定等に誤りがあったとしても、直ちに当該申告書の提出がなかったものとみなすことはできない。 第1 事案の概要:被告人会社は法人税の確定申告書を提出したが、その内容において事業年度の算定に誤りがあった。この誤りを理由として、検察側あるいは下級審において、当該申告…
事件番号: 昭和35(あ)560 / 裁判年月日: 昭和38年10月22日 / 結論: 棄却
一 原判決の確定した事実関係の下においては、原審が所論未払事業税、諸未払金、交際費を被告会社の本件犯則事業年度の損金に計上することを認めなかつたのは正当である。 二 (原判示の要旨) (イ)未払事業税について 所論昭和二十二、二十三両年度の法人所得に対する事業税については、当時賦課徴収制が採られ、納税義務者に対する徴収…