利息制限法所定の制限を超過する利息・損害金は、約定の履行期が到来しても、なお未収であるかぎり、旧法人税法(昭和二二年法律第二八号)九条にいう「益金」に該当しない。
利息制限法の制限を超過する未収の利息・損害金と旧法人税法(昭和二二年法律第二八号)九条にいう「益金」
旧法人税法(昭和22年法律28号)9条1項,利息制限法1条,利息制限法4条
判旨
利息制限法の制限を超える利息・損害金は、約定の履行期が到来していても、未収である限り、法人税法上の益金に該当しない。公法上の課税要件の充足を判断するにあたっては、私法上の無効とされる収益を当然に益金に計上することは許されない。
問題の所在(論点)
利息制限法所定の制限を超える未収の利息について、法人税法上の所得算出における「益金」として算入できるか。私法上無効な債権が、履行期到来のみをもって税務上の益金(権利確定)として認められるかが問われた。
規範
利息制限法所定の制限を超過する利息または損害金は、約定の履行期が到来していたとしても、なお未収である限り、旧法人税法9条(現22条2項・4項)にいう「益金」に該当しない。
重要事実
被告会社の代表取締役である被告人Aは、法人税を免れる目的で、多額の所得を秘匿して虚偽の確定申告を行ったとして法人税法違反(脱税)で起訴された。第一審および原審は、被告会社が取引先に対して有していた貸付金債権について、利息制限法を超過する利息であっても、債務者がこれを有効として取り扱い、法による保護を求めていない等の事情がある場合には、たとえ未収であっても履行期が到来した全額を益金に算入すべきであると判断し、これに基づき所得金額を認定して有罪とした。
あてはめ
利息制限法所定の制限を超える利息の約定は、超過部分について私法上無効である。法人税法における益金の計上は、原則として権利が確定した時点で行われるべきものである(権利確定主義)。本件において、一審および原審は、債務者が無効を主張していないという事情を考慮して未収の超過利息を益金に算入したが、私法上無効な債権は履行を強制できず、未収である以上は「所得」としての実質を備えていない。したがって、未収である限りこれを益金に算入することは、法人税法の解釈適用を誤ったものであるといえる。
結論
未収の制限超過利息を益金に算入して脱税額を算出した原判決には法令の解釈適用の誤りがあるため、破棄を免れない。事件を第一審に差し戻す。
実務上の射程
法人税法上の「益金」の意義について、私法上の法的効力と密接に連動することを認めた射程の長い判例である。権利確定主義の例外として「管理支配」等の概念が議論されることもあるが、本判決は私法上無効な未収収益については厳格に益金性を否定している。答案上は、違法所得や公序良俗違反の収益が益金に含まれるかという論点において、本判決の「未収である限り益金に含まない」という論理を対比させて活用できる。
事件番号: 昭和40(あ)1730 / 裁判年月日: 昭和41年9月7日 / 結論: 棄却
一 法人税法第九条二項前段、第四二条によつて、法人の所得の計算上損金に算入されるべき利子税額に相当する法人税をいずれの事業年度の損人に算入すべきは、同法の解釈上当然定まつていると解すべきであり、この解釈は、行政庁の通達によつて決定もしくは変更されるものではないから、憲法第八四条違反の主張は、その前提を欠き上告適法の理由…