被告会社が利息の定めなく金員を代表取締役Aに貸与し、もつて同人に与えた通常取得すべき利息相当の経済的利益は、旧法人税法施行規則(昭和四〇年政令第九七号による改正前の昭和二二年勅令第一一一号。)一〇条の四にいう法人の所得の計算上損金に算入されない役員に対して支給した賞与にあたる。
旧法人税法施行規則(昭和四〇年政令第九七号による改正前の昭和二二年勅令第一一一号。)一〇条の四にいう法人の所得計算上損金に算入されない役員に対し支給した賞与にあたるとされた事例
旧法人税法施行規則(昭和40年政令97号による改正前の昭和22年勅令111号。)10条の3項4項,旧法人税法施行規則(昭和40年政令97号による改正前の昭和22年勅令111号。)10条の4,法人税法35条1項,法人税法35条4項
判旨
法人が役員に対し無利息で金員を貸与した場合、通常取得すべき利息相当の経済的利益は、法人税法上の所得計算において損金不算入となる「役員に対する賞与」に該当する。また、その算出に際して社会通念上相当な利率を採用することは、租税法律主義に反せず適法である。
問題の所在(論点)
法人が役員に無利息で金員を貸与した際に発生する利息相当額の経済的利益が、法人税法上の「役員賞与」として損金不算入の対象となるか。また、その利率を「社会通念上相当」な範囲で決定することが租税法律主義に抵触しないか。
規範
法人が役員に対して無利息で金員を貸与し、それによって役員に与えた通常取得すべき利息相当の経済的利益は、法人税法(旧法9条8項、施行規則10条の3第4項等)に基づき、法人の所得計算上損金に算入されない「役員に対する賞与」に含まれる。その利益額の算出にあたっては、経済界の一般的取引の実情に照らし、社会通念上相当な利率を採用すべきである。
重要事実
被告会社は、当時の代表取締役Aに対し、利息の定めを置かずに金員を貸与した。この貸付けについて、税務当局等は、本来受け取るべき利息相当分を経済的利益(役員賞与)と構成して所得を計算。その利率として年1割が採用されたことに対し、弁護人側は憲法84条(租税法律主義)違反等を主張して争った。
あてはめ
本件において、代表取締役Aが無利息貸与により享受した利息相当の利益は、実質的に役員への給与的性質を有しており、旧法人税法施行令規則にいう損金不算入の役員賞与に当たると解するのが相当である。利率の算定については、当時の経済界における一般的取引の実情を基準とすべきであり、第一審が採用した年1割という利率は、社会通念上相当な範囲内といえ、法令に基づいた合理的な算定方法であると認められる。
結論
無利息貸与による利息相当利益は役員賞与に該当し、年1割の利率による課税処分は適法である。したがって、憲法84条違反等の主張には理由がない。
実務上の射程
役員への無利息・低利貸付けが「利益供与」として課税対象となる際の判断枠組みを示している。答案上は、法人税法上の「所得」の包括的性質や、実質所得課税の原則を論じる際の補強材料として利用できる。特に利率の妥当性について「社会通念」や「取引の実情」という基準を用いた点は、租税法における具体的規範の定立に有用である。
事件番号: 昭和40(あ)1730 / 裁判年月日: 昭和41年9月7日 / 結論: 棄却
一 法人税法第九条二項前段、第四二条によつて、法人の所得の計算上損金に算入されるべき利子税額に相当する法人税をいずれの事業年度の損人に算入すべきは、同法の解釈上当然定まつていると解すべきであり、この解釈は、行政庁の通達によつて決定もしくは変更されるものではないから、憲法第八四条違反の主張は、その前提を欠き上告適法の理由…
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いわゆる株主相互金融を営む会社において、融資を希望しない株主に対し「株主優待金」の支払をしても、法人税法上は、その支出を会社の損金に算入することは許されない。