取引相手である法人の代表者個人に対し取引に関する謝礼等の趣旨で支出した費用が租税特別措置法(平成14年法律第15号による改正前のもの)61条の4第1項にいう「交際費等」に当たるとされた事例
法人税法22条3項2号,租税特別措置法(平成14年法律第15号による改正前のもの)61条の4第1項
判旨
不動産取引の相手方である法人の代表者個人に対し、謝礼等の趣旨で支出された金員は、租税特別措置法上の「交際費等」に該当する。
問題の所在(論点)
取引相手である法人の代表者個人に対して、謝礼等の趣旨で個人的利得のために支出された金員が、旧租税特別措置法61条の4第1項にいう「交際費等」に該当するか。
規範
租税特別措置法61条の4第1項(旧法)にいう「交際費等」とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対し、接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものをいう。取引に関し、取引相手である法人の代表者個人に対する謝礼等の趣旨で、同個人に対して行った支出は、これに該当する。
重要事実
被告会社は、数十億円規模の不動産取引の相手方となった株式会社の代表取締役に対し、(1)個人的利得とするための謝礼として現金7500万円を手交し、(2)個人的借金の返済資金として1億2500万円を無担保で貸し付けた後に債務免除を行い、(3)専務取締役に対しても代表取締役の指示で現金3000万円を秘匿して手交した。これらの支出は、いずれも他の同社関係者に発覚しないよう秘かに行われ、実質的に代表取締役個人に対する支出と認められるものであった。
あてはめ
本件各支出は、数十億円規模の不動産取引に関連してなされたものであるから、法人の「事業に関係のある者」に対する支出といえる。また、その性質は代表取締役個人への「謝礼」や「個人的借金の返済資金」の提供であり、他の関係者に秘匿して行われていることから、法人の事業円滑化を目的とした贈答や供応に類する行為であると評価できる。したがって、これらの支出は取引の対価そのものではなく、取引に関し、取引相手の代表者個人に対する謝礼等の趣旨でなされた「交際費等」に該当すると判断される。
事件番号: 平成10(あ)961 / 裁判年月日: 平成14年10月15日 / 結論: 棄却
法人税法159条1項(平成10年法律第24号による改正前のもの)に規定する者が,所得の秘匿工作をした上,ほ脱の意思で法人税確定申告書を税務署長に提出しなかった場合,免れた法人税の額は,所得の秘匿工作が行われた部分に限定されるものではなく,その事業年度の所得の金額全額に対する税額になる。
結論
被告会社が取引相手の代表者個人に対して行った各支出は、旧租税特別措置法61条の4第1項にいう「交際費等」に該当する。
実務上の射程
法人の代表者個人への裏金的な支出であっても、それが取引に関連し、実質的に接待・贈答等の性質を有する限り「交際費等」に含まれることを明示した。答案上は、支出の相手方が「事業に関係のある者」であること、及び支出の目的が「接待、供応、贈答等」であることを具体的事実に基づき認定する際の規範として活用できる。
事件番号: 平成1(あ)28 / 裁判年月日: 平成6年9月16日 / 結論: 棄却
架空の経費を計上して所得を秘匿することに協力した者に支払った手数料を法人税の課税標準である所得の金額の計算上損金の額に算入することは許されない。
事件番号: 平成15(あ)59 / 裁判年月日: 平成17年10月7日 / 結論: 棄却
甲社の絵画等購入担当者である乙らが,丙の依頼を受けて,甲社をして丙が支配する丁社から多数の絵画等を著しく不当な高額で購入させ,甲社に損害を生じさせた場合において,その取引の中心となった甲と丙の間に,それぞれが支配する会社の経営がひっ迫した状況にある中,互いに無担保で数十億円単位の融資をし合い,各支配に係る会社を維持して…
事件番号: 平成19(あ)2014 / 裁判年月日: 平成23年1月26日 / 結論: 棄却
1 会社の代表取締役から実質的に経理担当の取締役に相当する権限を与えられ,会社の決算・確定申告の業務等を統括していた者は,会社から報酬を受けることも日常的に出社することもなかったとしても,法人税法(平成19年法律第6号による改正前のもの)164条1項にいう「その他の従業者」に当たる。 2 法人税ほ脱犯において,行為者が…