第一審判決判示にかかる農林大臣の中部千島さけ、ます流網漁業の操業許可に関する権利の売却益をもつて、昭和三四年事業年度の所得として申告すべきものとし、これについて被告人らにおける法人税逋脱の罪の成立を認めた原判決の判断は、正当と認められる(第一審判決参照。)
操業権の解除条件付売買による売却益金の帰属事業年度
法人税8条1項(昭和37年3月21日法律45号、同年4月2日法律67号による改正前のもの)
判旨
行政庁による操業許可に関する権利の売却益について、権利の譲渡が実質的に成立し収益が実現したといえる場合には、その事業年度の所得として法人税法上の課税対象となる。
問題の所在(論点)
行政上の許可に基づく権利の売却益が、どの事業年度の所得として計上されるべきか、およびその所得の秘匿が法人税逋脱罪を構成するか。
規範
法人税法上の収益の計上時期については、原則としてその原因となる権利が発生した時期(権利確定主義)によるべきであるが、実質的な所得の支配や経済的価値の享受が認められる場合には、その実現した事業年度の所得として構成される。
重要事実
被告人らは、農林大臣による中部千島さけ・ます流網漁業の操業許可に関する権利を売却し、その売却益を得た。しかし、この利得を昭和34年事業年度の所得として申告せず、法人税を逋脱したとして起訴された。被告人側は上告において、当該利益の帰属や年度について争った。
あてはめ
原判決は、農林大臣の中部千島さけ・ます流網漁業の操業許可に関する権利の売却益について、昭和34年事業年度の所得として申告すべきものと判断した。最高裁も、当該権利の譲渡に伴う利益が同年度に実効的に発生・帰属していることを前提に、これを所得として認めない被告人らの主張を事実誤認または単なる法令違反として排斥し、原憲判決の判断を正当とした。
結論
本件売却益は昭和34年事業年度の所得に該当し、これを申告しなかった行為について法人税逋脱罪の成立を認めた原判決は正当である。
実務上の射程
行政上の許認可に伴う経済的利益であっても、実質的な譲渡等により収益が具体化していれば、法人税法上の所得として捕捉される。答案上は、所得の実現時期や課税対象性の有無が問題となる場面で、実質的な権利移転の事実に着目する際の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和44(あ)2384 / 裁判年月日: 昭和46年11月16日 / 結論: 破棄差戻
利息制限法所定の制限を超過する利息・損害金は、約定の履行期が到来しても、なお未収であるかぎり、旧法人税法(昭和二二年法律第二八号)九条にいう「益金」に該当しない。
事件番号: 昭和38(あ)961 / 裁判年月日: 昭和39年9月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】実質課税の原則は、明文の規定が設けられる以前から税法上の条理として是認されていたものであり、これを明文化した規定の施行前の所得に対しても、当該原則を適用して課税することは合憲である。 第1 事案の概要:被告人Aは、昭和27年分の煙草小売所得について、Cの名義を用いて事業を行っていた。原審は、実質課…