判例違反の主張が欠前提とされた事例
判旨
脱税事件における所得金額の認定において、証拠から合理的に推認される計算方法を用いることは経験則に合致し、合理的である。
問題の所在(論点)
刑事裁判における所得金額の認定方法が経験則に照らして不合理である場合、判例違反あるいは法令違反となるか。また、本件における認定方法の合理性の有無。
規範
所得金額の認定については、直接的な証拠が十分でない場合であっても、諸般の事情から経験則に照らして合理的と認められる推計や算定方法を用いることが許容される。
重要事実
被告人が所得税法違反(脱税)に問われた事案において、原審(控訴審)は一定の認定方法を用いて被告人の所得金額を算出した。これに対し弁護人は、当該認定方法が不合理であり経験則に反するものであると主張して、判例違反を理由に上告した。
あてはめ
本件における原判決の所得金額の認定方法は、経験則に合致しており、論理的かつ合理的である。したがって、弁護人が主張する「認定方法の不合理性」という前提自体が欠如していると判断される。
結論
原判決の所得認定に不合理な点はなく、上告は棄却される。
実務上の射程
所得税法違反等の脱税事件において、検察側が提示する所得の算定手法(推計計算等)の合理性を争う際の基準となる。実務上は、認定の基礎となった個別の事実関係や計算式が、一般的な経済活動の経験則から逸脱していないかを検討する際に引用される。
事件番号: 昭和57(あ)1563 / 裁判年月日: 昭和60年11月25日 / 結論: 棄却
租税逋脱犯における逋脱所得金額を認定するに当たり、一定期間の期首と期末の財産状態を比較することを基本にしてその期間の利益すなわち所得の金額を算定するいわゆる財産増減法を用いることも許される。
事件番号: 昭和38(あ)961 / 裁判年月日: 昭和39年9月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】実質課税の原則は、明文の規定が設けられる以前から税法上の条理として是認されていたものであり、これを明文化した規定の施行前の所得に対しても、当該原則を適用して課税することは合憲である。 第1 事案の概要:被告人Aは、昭和27年分の煙草小売所得について、Cの名義を用いて事業を行っていた。原審は、実質課…