一 原判決の確定した事実関係の下においては、原審が所論未払事業税、諸未払金、交際費を被告会社の本件犯則事業年度の損金に計上することを認めなかつたのは正当である。 二 (原判示の要旨) (イ)未払事業税について 所論昭和二十二、二十三両年度の法人所得に対する事業税については、当時賦課徴収制が採られ、納税義務者に対する徴収令書の交付により賦課税額が確定する建前になつていたため、当該事業年度において、未だ賦課税額が確定しないときは、その事業年度の所得金額に標準税率を乗じて計算した額をもつて、その事業年度の損金とすべきであつて、右事業年度経過後に至つて確定する賦課税額による不足額を遡つて右事業年度の損金として総益金よりこれを控除すべき理由がない。 三 (ロ)諸未払金について 所論の諸経費(固定資産税、失業保険料等)は、当該事業年度にのみ限定された経費ではなく、毎事業年度繰り返えし継続して支払わるべき経費であるところ、記録によれば、被告会社においては、従来これ等の諸経費を、現実に支払つた日の属する事業年度の経費として計上し、法人税の申告納税をしたものであることが認められる。このような経理慣行の存在する場合は、この経理慣行に従つて、これ等諸経費は、現実に支払われた日の属する事業年度の損金として計上すべきであつて、本件犯則事業年度に限り、発生主義に基づいて、所論未払諸経費をその債務発生の事業年度の損失として算入すべきではない。 四 (ハ)交際費について 所論の交際費は、被告会社の年間売上高金額を基礎として算出された単なる計数上の金額に過ぎず、それが現実の経費として支出されたことを認むべき何等の基礎資料も存在しない。 と各判示している。
法人の所得額の算定および逋脱責任額に関し、未払事業税、諸未払金、交際費を犯則事業年度の損金に計上することが容認されなかつた事例。
旧法人税法(昭和32年法律28号)附則16項,旧法人税法(昭和29年法律38号)附則9項,旧法人税法(昭和22年法律28号―昭和25年法律72号による改正後のもの)48条1項,旧法人税法(昭和22年法律28号―昭和25年法律72号による改正後のもの)21条1項,旧法人税法(昭和22年法律28号―昭和25年法律72号による改正後のもの)19条,旧法人税法(昭和22年法律28号―昭和25年法律72号による改正後のもの)9条,旧法人税法(昭和22年法律28号―昭和25年法律72号による改正後のもの)51条,旧法人税法(昭和22年法律28号―昭和25年法律72号による改正後のもの)53条,旧地方税法(昭和23年法律110号)18条,旧地方税法(昭和23年法律110号)19条,旧地方税法(昭和23年法律110号)12条,国税庁、事業税の取扱について通達(昭和26年3月29日直法1―42),国税庁、法人税基本通達(昭和25年9月25日直法1―100)269号,所得税法20条1項
判旨
法人税法違反事件において、未払事業税、諸未払金、および交際費等が、課税所得計算上の損金に計上できるか否かが争われたが、裁判所はこれらを当該事業年度の損金として認めなかった。
問題の所在(論点)
法人税法違反の犯則事業年度において、未払事業税、諸未払金、交際費等を損金として計上し、課税所得から控除することが認められるか。
規範
法人税法上の損金算入の可否については、当該費用が当該事業年度の収益に対応するものであるか、または当該事業年度に債務が確定している必要がある。具体的事実関係に基づき、会計慣行や税法の規定に照らして判断される。
重要事実
被告会社は、法人税法違反(脱税)の容疑で起訴された。被告側は、未払事業税、諸未払金、および交際費等が犯則事業年度の損金として計上されるべきであり、その結果として脱税額が減少または消滅すると主張して上告した。
あてはめ
最高裁判所は、原審が確定した事実関係を前提として検討した。その結果、所論の未払事業税、諸未払金、交際費等について、これらを被告会社の本件犯則事業年度の損金に計上することを認めなかった原審の判断を正当とした(具体的な計上不可の理由は判決文からは不明)。
結論
未払事業税、諸未払金、交際費等を当該事業年度の損金に計上することは認められず、被告会社の上告は棄却された。
実務上の射程
本判決は、刑事裁判における脱税額の算定において、後付けの損金算入主張が容易には認められないことを示唆している。答案作成上は、損金の発生時期や債務確定主義の観点から、各費用が法的に損金として認められる要件を満たしているかを厳格に検討すべきである。
事件番号: 昭和40(あ)1730 / 裁判年月日: 昭和41年9月7日 / 結論: 棄却
一 法人税法第九条二項前段、第四二条によつて、法人の所得の計算上損金に算入されるべき利子税額に相当する法人税をいずれの事業年度の損人に算入すべきは、同法の解釈上当然定まつていると解すべきであり、この解釈は、行政庁の通達によつて決定もしくは変更されるものではないから、憲法第八四条違反の主張は、その前提を欠き上告適法の理由…
事件番号: 昭和57(あ)166 / 裁判年月日: 昭和59年3月6日 / 結論: 棄却
不動産競売についての予納金及び登録免許税の納付による支出は、所得税法上の必要経費にあたらない。