不動産競売についての予納金及び登録免許税の納付による支出は、所得税法上の必要経費にあたらない。
不動産競売についての予納金及び登録免許税の納付による支出と所得税法上の必要経費
所得税法35条,所得税法37条1項,競売法33条2項(昭和54年法律4号により廃止),民事執行法14条,民事執行法42条,民事執行法194条
判旨
不動産競売の予納金及び登録免許税は、後日売却代金から優先的に償還されることが予定されているため、所得税法上の必要経費には該当しない。
問題の所在(論点)
不動産競売の申立てに際して支出した予納金及び登録免許税が、所得税法上の必要経費に該当するか。
規範
所得税法上の必要経費として認められるためには、その支出が所得を得るために直接要した費用であるか、又は販売費、一般管理費その他業務上の費用である必要がある。もっとも、支出した金額が後日優先的に償還(補填)されることが予定されている場合には、実質的な資産の減少を伴わないため、必要経費には算入できない。
重要事実
被告人が不動産競売を申し立てるにあたり、予納金及び登録免許税を納付して支出した。この支出について、所得税法上の必要経費として計上できるかが争点となった。なお、当該競売費用は、民事執行法の規定に基づき、目的不動産の売却代金から他の債権に先立って優先的に償還を受けることが可能な性質のものであった。
事件番号: 昭和35(あ)560 / 裁判年月日: 昭和38年10月22日 / 結論: 棄却
一 原判決の確定した事実関係の下においては、原審が所論未払事業税、諸未払金、交際費を被告会社の本件犯則事業年度の損金に計上することを認めなかつたのは正当である。 二 (原判示の要旨) (イ)未払事業税について 所論昭和二十二、二十三両年度の法人所得に対する事業税については、当時賦課徴収制が採られ、納税義務者に対する徴収…
あてはめ
本件における予納金及び登録免許税の支出は、民事執行の手続き上、後日当該不動産の売却代金から「競売費用」として優先的に償還されることが法的に予定されている。このような償還予定のある支出は、最終的に支出者の負担に帰すべき費用とはいえず、所得算出の過程で差し引くべき「必要経費」としての実質を欠くものと評価される。
結論
本件支出は所得税法上の必要経費として認められない。
実務上の射程
本判決は、支出の形式だけでなく、その法的性質(将来の償還可能性)を重視して必要経費性を判断している。答案上、必要経費の該当性が問われた際、当該支出が後に補填される仕組みの有無を検討する際の有力な論拠となる。特に民事執行手続と税務が交錯する場面で有用である。
事件番号: 平成1(あ)28 / 裁判年月日: 平成6年9月16日 / 結論: 棄却
架空の経費を計上して所得を秘匿することに協力した者に支払った手数料を法人税の課税標準である所得の金額の計算上損金の額に算入することは許されない。