土地の売渡しの仲介をした宅地建物取引業者が土地所有者との契約により当該売渡しにかかる土地の再評価税を自己の負担において代納付した場合、その代納付金が当該土地の仲介手数料を得た年度の収入を得るために被告人が支出した費用であつて、代納付義務が同年度に債務として成立し、その金額も算定可能であつたときは、右代納付金は同年度の経費として計上すべきである。
土地の売渡しの仲介をした宅地建物取引業者が土地所有者との契約により当該売渡しにかかる土地の再評価税を自己の負担において代納付した場合と経費の計上時期
所得税法(昭和40年法律33号による改正前のもの)10条2項,所得税法(昭和40年法律33号による改正前のもの)9条1項4号,資産再評価法36条
判旨
所得税法上の必要経費の算定において、当該年度の収入を得るために支出した費用であり、かつ当該年度に債務が成立し、その金額が算定可能となったものは、当該年度の経費として計上すべきである。
問題の所在(論点)
所得税法上、ある支出が必要経費として認められるための要件およびその帰属時期(年度)の判断基準が問題となる。
規範
所得税法における必要経費の帰属時期(年度)は、単に現実に支出された時ではなく、原則として、その費用が当該年度の収益に対応するものであり、かつ、当該年度末までに債務が確定(成立及び金額の算定が可能)していることをもって判断する。
重要事実
被告人が昭和33年度の収入を得るために支出した費用(9,755,250円)について、その必要経費としての帰属年度が争われた。当該費用は、昭和33年度中に債務として成立しており、かつ、その金額も同年度中に算定可能な状態にあった。
あてはめ
本件における9,755,250円の支出は、被告人が昭和33年度の収入を得るために要した費用である。また、単に支払予定であるにとどまらず、昭和33年度において既に債務として成立しており、かつ金額の算定も可能であったといえる。したがって、債務確定主義の観点から、当該費用は昭和33年度の経費として計上するのが相当である。
結論
当該費用を昭和33年度の経費とした原審の判断は正当であり、被告人の上告を棄却する。
実務上の射程
所得税および法人税における「債務確定主義」を簡潔に示した判例。必要経費の帰属時期が問われる問題において、「収益との対応関係」「債務の成立」「金額の算定可能性」の3要素を検討する際の論拠として使用できる。
事件番号: 昭和43(あ)21 / 裁判年月日: 昭和44年4月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】所得税法上の「詐偽その他不正の行為」による脱税罪の成立には、納税者のいかなる所為が当該行為に該当するかを具体的に特定する必要があるが、その摘示が不明確な場合であっても、直ちに原判決を破棄すべき正義に反する事由に当たるとは限らない。 第1 事案の概要:被告人が譲渡所得に関する所得税を不正に免れたとし…