判旨
懲役2か月の量刑が憲法36条の「残虐な刑罰」に該当するか否かが争われたが、実質的な量刑不当の主張にすぎず、憲法違反には当たらない。
問題の所在(論点)
特定の犯罪に対する懲役2か月という量刑が、憲法36条の禁止する「残虐な刑罰」に該当し、憲法違反となるか。
規範
憲法36条が禁じる「残虐な刑罰」とは、不必要な苦痛を伴う処罰形式や、人道上の観点から是認できない刑罰を指す。単なる量刑の適否は、憲法違反の問題ではなく刑事訴訟法上の量刑不当の問題として処理されるべきである。
重要事実
被告人は第一審において懲役2か月の実刑判決を受けた。これに対し、弁護人が当該量刑は公平な裁判を欠き、かつ「残虐な刑罰」に該当し憲法36条および37条に違反するとして上告した事案である。
あてはめ
本件における懲役2か月という刑罰は、身体拘束を伴う自由刑として刑事訴訟法上認められた適法な刑種である。被告人側はこれを残虐と主張するが、その実質は単なる第一審の量刑に対する不満(量刑不当)の主張にすぎない。人道に反するような異常な苦痛を伴う処罰とはいえず、憲法違反の事由には当たらない。
結論
本件の懲役2か月の量刑は憲法36条に違反せず、上告を棄却する。
実務上の射程
量刑が不当に重いことを憲法違反(残虐な刑罰)として構成しようとする主張に対し、裁判所がそれを門前払いする際のロジックとして機能する。答案上は、法定刑そのものが違憲とされるような極端なケースを除き、個別の量刑判断は憲法の問題ではなく事実誤認・量刑不当の問題として扱うべきであることの根拠となる。
事件番号: 昭和28(あ)842 / 裁判年月日: 昭和29年9月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】法律で許容された範囲内の刑を量定し、刑の執行猶予を言い渡さなかったとしても、憲法36条が禁じる「残虐な刑罰」には当たらない。 第1 事案の概要:被告人に対し、法律の範囲内で刑が言い渡されたが、執行猶予が付されなかった。これに対し弁護人は、執行猶予を言い渡さなかったことが憲法36条に違反し、残虐な刑…