判旨
複数の罪が併合罪の関係にある場合、懲役刑の併合罪加重については、最も重い罪の懲役刑の長期にその2分の1を加えたものを長期とする刑法47条の規定に従う。
問題の所在(論点)
刑法47条に基づく併合罪加重の具体的運用において、判決文に「最も重い罪につき定めた刑の長期にその半数を加えたものを長期とする」旨の記載がない場合でも、法令適用の違法とはならないか。
規範
刑法45条前段の併合罪について懲役刑を科す場合、同法47条に基づき、併合罪を構成する罪のうち最も重い罪について定めた刑の長期に、その2分の1を加えたものを長期とする(併合罪加重)。
重要事実
被告人が臨時物資需給調整法違反を含む複数の罪を犯し、第一審において併合罪として処断された。第一審判決は、刑法45条前段に基づき、同法47条、48条、10条を適用して併合罪の加重を行い、懲役刑を言い渡した。これに対し、弁護人が第一審判決の法令適用理由に不備があると主張して上告した事案である。
あてはめ
第一審判決の法令適用理由の説明中に「併合罪であるから、47条……に従つて併合罪の加重を為し」との記載がある。本件で最も重い罪は、臨時物資需給調整法4条所定の懲役10年である。判文上の記載から、裁判所が同法4条の懲役10年にその半数を加えたものを長期として処断した趣旨であることが窺い知れるため、法令適用の不備や違法は認められない。
結論
被告人および弁護人の上告を棄却する。刑法47条の規定に基づき、最も重い罪の長期を基準とした併合罪加重を行った判断は正当である。
実務上の射程
本判決は、併合罪加重(刑法47条)の計算方法の基本を確認したものである。司法試験においては、罪数論で併合罪が成立する場合の処断刑の範囲を決定する際、刑法47条の適用方法を説明する根拠として活用できる。
事件番号: 昭和26(あ)3724 / 裁判年月日: 昭和28年4月9日 / 結論: その他
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鉄道部内の職員が、鉄道共済組合令に基き、運輸大臣の命によつて国有鉄道共済組合の業務に従事する場合、その業務の執行は、刑法第一九七条にいう同職員の公務員としての職務に属する。
事件番号: 昭和28(れ)15 / 裁判年月日: 昭和28年10月20日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】判決後の大赦は免訴事由に該当し、また、犯罪後の法律の変更により刑が軽くなった場合には、刑法6条により軽い方の刑を適用すべきである。 第1 事案の概要:被告人は物価統制令違反、臨時物資需給調整法違反、および贈賄の罪に問われ、下級審で有罪判決を受けた。その後、上告審の継続中に昭和27年政令117号によ…