鉄道部内の職員が、鉄道共済組合令に基き、運輸大臣の命によつて国有鉄道共済組合の業務に従事する場合、その業務の執行は、刑法第一九七条にいう同職員の公務員としての職務に属する。
鉄道部内の職員による国有鉄道共済組合の業務の執行は公務員としての職務に属するか
刑法197条1項,鉄道共済組合令(明治40年勅令127号)1条,鉄道共済組合令(明治40年勅令127号)3条,国有鉄道共済組合規則(昭和25年鉄道省令7号)1条,国有鉄道共済組合規則(昭和25年鉄道省令7号)2条,国有鉄道共済組合物資部規定(昭和19年運輸大臣達253号)1条,国有鉄道共済組合物資部規定(昭和19年運輸大臣達253号)4条
判旨
公務員が法令に基づき他の団体の事務に従事する場合、当該事務の執行は公務員としての「職務」に属する。また、賄賂罪の成否には、金品が職務に関する不法の報酬(対価関係)であるという事実認定が必要である。
問題の所在(論点)
1. 公務員が法令に基づき、本来の国家機関ではない団体の事務(本件では国鉄共済組合の事務)に従事する場合、その事務は刑法197条にいう「職務」に該当するか。 2. 賄賂罪における「職務に関し」の認定において、授受された金品の主観的な趣旨の立証は必要か。
規範
刑法197条の「職務」とは、公務員の権限に属する事務を指す。本来の国家機関の事務でなくとも、法令に基づき大臣等の監督下で行われる公共的性格を有する団体の業務に従事することが義務付けられている場合、その業務の執行は当該職員の公務員としての職務に属する。また、賄賂の認定には、収受した金品が職務行為に対する不法の報酬(対価)としての趣旨を持つという事実関係の証明を要する。
重要事実
被告人A(鉄道官吏)は、被告人Bから貨車配車等の便宜供与への謝礼として金品を収受したとして起訴された。また、鉄道局の課長・係長であった被告人C・Dは、法令(旧鉄道共済組合令等)に基づき国鉄共済組合の事務に従事していたところ、Bから特配申請書の作成等の便宜に関し金品を収受した。一審・二審は、Aについては金品の授受は認めたが、職務に関する対価としての趣旨が証明されていないとして無罪とした。C・Dについては有罪としたため、検察官および被告人側がそれぞれ上告した。
事件番号: 昭和26(れ)491 / 裁判年月日: 昭和28年4月28日 / 結論: その他
鉄道警備係が闇物資の輸送を黙認するよう請託を受け、金品を収受すれば刑法一九七条一項後段の収賄罪となる。
あてはめ
1. 国鉄共済組合は国家機関ではないが、法令に基づき組織され、運輸大臣の統理の下で職員の福利厚生という公共的目的を担う。同組合の事務に従事する職員は大臣の命により公務としてこれを行うのであるから、その業務執行は公務員としての「職務」に属する。したがって、C・Dが組合業務に関して金品を収受した行為は職務に関するものといえる。 2. 賄賂は職務に対する不法の報酬である。Aの事案において、原審が「便宜の対価(謝礼)として授受された事実」を証拠不十分と判断した以上、職務との関連性という法律判断の基礎を欠くことになり、無罪とするのは正当である。
結論
1. 法令に基づき従事する団体事務も「職務」に含まれるため、C・Dの収賄罪は成立する。 2. 金品の対価的趣旨(賄賂性)が事実認定により否定される場合、Aの収賄罪は成立しない。
実務上の射程
補助的・付随的業務や外郭団体の事務であっても、法令上の根拠に基づき公務員が従事している場合には「職務」に含まれるという判断枠組みを示す。答案上は、職務権限の有無を論じる際に、当該業務の法的根拠と監督関係を指摘する際の論拠として活用できる。
事件番号: 昭和25(れ)1409 / 裁判年月日: 昭和26年10月12日 / 結論: 棄却
一 判決に証拠として「被告人に対する検事の第二回聴取書中判示同旨の供述記載」と掲げてあつても、記録中数通ある被告人に対する検事の聴取書中判示事項と同旨の記載ある聴取書は第一回聴取書だけであつて、その余の聴取書には別個の事実についての供述記載しかない場合には、右第二回聴取書は第一回聴取書の誤記であること明らかであるといわ…
事件番号: 昭和27(あ)4916 / 裁判年月日: 昭和29年7月5日 / 結論: 棄却
収受された賄賂者に返還せられ、贈賄者においてこれを費消した場合には、贈賄者よりその額を追徴するのが相当である。
事件番号: 昭和26(れ)2255 / 裁判年月日: 昭和28年2月24日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】形式的には技術吏員及び無給嘱託員として任命されていても、実質的に高額の給与を受けて公務に従事している場合には、刑法7条の公務員に該当する。高給を支給するための便宜的な任命手続であっても、それが直ちに公務員任命を無効とする理由にはならない。 第1 事案の概要:被告人Eらは、東京都から技術吏員及び無給…