判旨
本判決は、弁護人が主張した憲法31条違反の訴えが、実質的には刑訴法411条の職権破棄事由を主張するものであると判断し、同条を適用すべき事由は認められないとして上告を棄却した。
問題の所在(論点)
上告人が憲法違反を主張して上告した場合において、その主張が実効的な憲法問題を含まず、実質的に刑訴法411条の職権破棄事由を主張するにとどまる場合に、上告理由として適法か。また、本件において職権破棄を行うべき事情があるか。
規範
上告趣旨が憲法違反を援用するものであっても、その実質が刑事訴訟法411条に該当する事由(法令違反、量刑不当、事実誤認等による著しい正義に反する事情)の主張にすぎない場合は、上告の適法な理由にはならない。その上で、最高裁判所が記録を精査しても、職権で判決を破棄すべき事由は認められないと判断される。
重要事実
上告人(被告人)の弁護人は、憲法31条(適正手続の保障)を援用して上告を申し立てた。しかし、その主張の具体的な内容は、実質的には刑事訴訟法411条が定める判決破棄事由があることを主張するものにすぎなかった。
あてはめ
弁護人の主張は憲法31条を援用してはいるが、その具体的な内容は適正手続の本質的侵害を基礎づけるものではなく、実効的には刑事訴訟法411条の事由(職権破棄事由)の主張に還元される。記録を精査しても、同条を適用して原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認められるような特段の事情は存在しない。
結論
本件上告は不適法な理由に基づくものであり、かつ職権破棄すべき事由も認められないため、棄却される。
実務上の射程
刑事訴訟における上告理由の限定(刑訴法405条)に関する実務上の取扱いを示す。単に憲法条項を引用するだけでは適法な上告理由とはならず、実質が単なる法令違反や事実誤認の主張であれば、最高裁は刑訴法411条による職権発動の適否として処理するという運用の枠組みを確認するものである。
事件番号: 昭和25(あ)1559 / 裁判年月日: 昭和27年2月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法61条が定める被告人の勾留に関する告知手続の不備を憲法31条違反として争うことは、実質的には同法違反の主張に過ぎず、原審で主張していない事項は適法な上告理由にならない。 第1 事案の概要:被告人は勾留等の手続に関して不服を申し立て、憲法31条(適正手続の保障)違反を主張して上告した。しか…