判旨
銃砲等所持禁止令1条の下では、既に許可を受けている者から銃砲等の譲渡又は寄託を受けた場合であっても、譲受人又は受寄託者は自ら新たに所持の許可を受ける必要がある。また、法改正前の違反行為に対し従前の例により罰則を適用することは、検挙時期による不当な差別を生むものではなく、憲法に違反しない。
問題の所在(論点)
1. 既に所持許可を有する者から銃砲等の譲渡又は寄託を受けた者が、自ら許可を得ることなくこれを所持することは禁止令1条に違反するか。 2. 法改正前の違反行為に対し、経過措置として従前の罰則を適用することは憲法に違反するか。
規範
銃砲等所持の禁止に関する法規制において、所持の許可は属人的な性質を有する。したがって、既に許可を受けている者から適法に銃砲等の占有を移転された場合であっても、その譲受人や受寄託者が当該物件を所持しようとする際には、改めて自ら所持許可を受けなければならない。
重要事実
被告人らは、銃砲等所持禁止令(当時)の規定に違反し、所持の許可を受けずに銃砲等を譲り受け、あるいは寄託を受けて所持した。弁護人は、既に許可を受けている者から譲渡・寄託を受けた場合には改めて許可を得る必要はないと主張したほか、法改正に伴う経過措置が検挙時期によって不公平な結果を招き憲法に違反すると主張して上告した。
あてはめ
1. 銃砲等所持禁止令1条の法意に照らせば、所持の許可は個々の所持者に対して与えられるべきものである。譲渡人や寄託者が許可を得ていたという事実は、譲受人や受寄託者が無許可で所持することを正当化するものではない。 2. 政令の附則において、施行前の違反行為に対し従前の例により罰則を適用すると定めることは、法の連続性と公平性を維持するための一般的な立法措置である。これにより検挙時期によって不当に不利益な差別が生じるとはいえず、違憲の主張は前提を欠く。
結論
許可を受けている者から譲渡・寄託を受けた場合であっても、自ら許可を得ずに所持する行為は禁止令1条に違反する。また、本件の罰則適用に関する経過措置は合憲である。したがって、上告を棄却する。
事件番号: 昭和26(れ)2350 / 裁判年月日: 昭和27年3月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】旧銃砲等所持禁止令が憲法に違反しないことは判例の確立したところであり、また昭和22年法律第72号1条の2の規定に照らし、同令が昭和22年12月31日をもって当然に失効することはない。 第1 事案の概要:被告人は銃砲等の所持禁止に抵触する行為を行い、旧銃砲等所持禁止令(および銃砲刀剣類等所持取締令附…
実務上の射程
行政上の許可に基づく禁止の解除が属人的なものであることを示した事例である。答案上は、銃刀法等の特別法における所持の意義や、許可の承継が認められない原則を確認する際の基礎となる判例である。
事件番号: 昭和26(あ)1259 / 裁判年月日: 昭和26年7月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本判決は、弁護人が主張する憲法違反の訴えについて、実質的には単なる訴訟法違反の主張にすぎないと判断し、刑訴法405条の上告理由に当たらないとして棄却した。 第1 事案の概要:被告人が上告を提起し、弁護人が上告趣意において憲法違反を主張した。これに対し、裁判所が当該主張の具体的内容を精査し、上告理由…
事件番号: 昭和26(あ)4536 / 裁判年月日: 昭和27年9月25日 / 結論: 棄却
所持罪のような継続犯については、一個の罪が成立しその継続中、たといその刑罰法規に変更があつても、刑法六条による新旧両法対照の問題はおこらず、常に新法を適用処断するを相当とする。
事件番号: 昭和25(あ)1456 / 裁判年月日: 昭和26年6月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本決定は、原判決の憲法違反を主張する上告趣意について、実質的に刑事訴訟法405条の上告理由に当たらないと判断し、職権調査によっても同法411条の破棄事由を認めず、上告を棄却したものである。 第1 事案の概要:被告人が原判決に憲法違反があるとして上告を申し立てた事案である。弁護人は上告趣意書において…
事件番号: 昭和26(あ)2162 / 裁判年月日: 昭和28年3月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】昭和20年勅令第542号に基づき制定された銃砲等所持禁止令は、ポツダム宣言の受諾に伴う連合国最高司令官の要求を履行するためのものであり、日本国憲法下においても有効である。 第1 事案の概要:被告人が銃砲等所持禁止令に違反して銃砲等を所持したとして起訴された事案において、弁護人は同禁止令が昭和20年…